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大村洋子議員「2012年度第1回定例会の議案(予算議案を除く)に対する反対討論」

大村洋子議員が、日本共産党を代表して3月27日の本会議で行った、第1回定例会の議案(予算議案を除く)に対する反対討論です。


日本共産党の大村洋子です。

市長から提案のありました37議案のうち私達は10議案に反対いたします。3月23日に行われました予算決算常任委員会の中で、議案第21号水道事業会計予算と議案第22号下水道会計予算については反対理由を述べましたので、ここではそれ以外の8議案について反対の立場から討論いたします。

はじめに議案第14号一般会計予算についてです。

昨年の東日本大震災を受けて、あらゆる面で防災の観点が重視される中、3名の職員を市民安全部に増員配置して体制強化を図るなど対策が取られています。しかし、代表質問で明らかになったように原子力防災については真剣に取り組んでいこうという姿勢が全く感じられませんでした。その大元には米海軍の言う原子力艦船は事故を起こさないという「安全神話」に依拠した考えがあり、福島原発事故の教訓や最近の首都圏直下型大地震の発表に真摯に耳を傾ける勢がみられません。今や、放射能被害は時間、空間を超えて広がり、人々のつながりそのものを分断し、地域社会を根こそぎ奪ってしまいかねないものとなっています。本市には原子力艦船が1年のうち300日以上停泊している状況からフクシマは他人事ではないのです。だからこそ代表質問で、原子力艦の事故対策マニュアルの改定を国に要望すべきと私たちは提案しました。しかし市長は自ら当該自治体として積極的に提言する道を選ばず、待ちの姿勢から一歩も出ないということを明らかにしただけでした。米海軍が言うから、外務省が言うから、だから安全なのだという論理は全く破たんしています。福島原発も「事故は絶対に起きない」と言われ続けてきたことを思い起こせば、危険な原子力艦船がいつも停泊している、そしてそれは地震や津波の際どうなるのかということを念頭におきながら、取り組まなければ、本当の意味での横須賀における防災対策はありえない。このことを強く指摘しておきます。

また放射線測定について、私たちは測定器を市民に貸し出しするべきと提案しましたが、市長からは取扱いに慣れた職員が行うべきとの答弁でした。残念ながら、国の情報の出し方のまずさが影響して、せっかく市民安全部や教育委員会がホームページで俊敏に情報をアップしても市民の中にはその情報が本当なのかウソなのか疑念すら持っている方もいるのです。ですから、自分の手で測定したいという市民の思いに市は寄り添うことが、不信感を払拭する近道だと思うのですが、市長にはご理解いただけなかったようです。

また、「放射能は無主物」という東電の無責任な姿勢についても「係争中だからコメントを控える」との遠慮がちな答弁でした。迷惑をかけられ8600万円の賠償請求をしている当事者である本市は、本当であれば、このような東電の姿勢に断固として抗議しなければならないのではないでしょうか。久里浜に火力発電所があるにせよ、東電を慮る必要はまったくないはずであり、このような市長の姿勢は改めていただきたいと思います。

さらに、今回私たちは原発についての市長の見解もお尋ねしました。しかし、ここでもいつもながらご自身の考えを述べることを避け「国家的取り組みであり動向を注視していく」と他人事のような答弁でした。

原子力艦の防災対策や原発については、国の動きを見守るだけ、事故を起こし迷惑をかけている東京電力に対してはダンマリ。このような何事も待ちの姿勢、何も発信しないという姿勢では市民のいのちと暮らしはどうやって守られるのでしょうか。大きな不安が残ります。

次に予算計上や施策の優先順位についてです。

「横須賀中央エリア再生促進アクションプラン」について、私たちは「呼び込み型」の政策から市民生活の支援を強める政策への転換を提案しました。この施策には「ホテル誘致等奨励金制度」があり、シングルルームには30万円、ツインルーム以上には50万円を目安に、増加する部屋数に応じて奨励金を交付するというものがあります。私は経済部との質疑の中で、「本市のホテルの客室稼働率はどうなっているのか」とお尋ねをしましたら、各ホテルの稼働率は公表となっていないので、把握しきれていない。メルキュールホテルについては助成金を出している関係でわかっているが、1月から5月は原子力空母のメンテナンス関係者の宿泊が主だとのお答えでした。実態がよく把握されていないにもかかわらず、希望的観測で奨励金を出す施策を展開することには大きな疑問があります。またこの施策全体にも確固としたコンセプトが感じられません。中央エリアの活性化は私たちも大切なことだと思いますが、ハード面の支援よりも中央エリアの一体的取り組みを広げるコンセプトづくりがまず必要だと考えます。そして、市民生活を支える、温めるような施策にしっかりとお金を付けることが先決だと考えます。小児医療費の助成についてはすっかり近隣他市に後れを取ってしまっていますし、学童保育を継続できるよう家賃全額補助や指導員の人件費の全額補助などにさっそく取り組むべきと思います。

知り合いに小さいお子さんをもつご家族がいらっしゃいます。そのお母さんが私に「横須賀はあまり子育ての制度がないですね。」とおっしゃっていました。私はそれを聞いて正直非常に恥ずかしい思いをしたのが忘れられません。新たな方々を横須賀に迎え転入者を増やす施策も大切でしょう。しかし、それよりもさらに今住んでいる方々にこれからも住み続けてもらえるような魅力ある施策で転出者を減らしていくことが大切だと思います。定住促進事業といったとき、様々な施策があるわけですが、今までのようなハード面にお金をつけることに重きを置くのではなく、着実に市民生活を支える政策に転換し市民に「横須賀に住んで良かった」と実感してもらえる施策こそ大切だと考えます。

14号に関連する内容で最後に基地の問題について述べたいと思います。基本計画の中には「国に対して可能な限りの米軍基地の返還、自衛隊施設の集約・統合の要請をします。」とうたわれています。これが本市のずっと主張してきた立場です。私たちはこの立場を支持しているわけではありませんが、市長が言う「基地を現実のものとして受け止める」という姿勢は基本計画からも大きく後退したと言わざるをえなく、私たちはこのような市長の姿勢を認めるわけにはいきません。

以上のように一つには原子力防災対策の不十分性、二つには国、米海軍、東京電力にしっかりモノをいう姿勢が感じられない点、三つには政策の優先順位が市民生活を支える施策を重視するのではなく、呼び込み型の施策になっていること、そして四つ目には基地に対して積極的に容認する態度をとっていることから、議案第14号平成24年度一般会計予算に反対いたします。

次に議案第15号国民健康費予算についてです。本市は、県内33市町村の中で国保対象世帯の所得が最も低く、法定減免の世帯は三分の一の世帯に上っている実態をみれば、保険料そのものを納めることも厳しい市民生活であることが見て取れます。ですから今までも言い続けております通り滞納対策の強化と称して資格証を発行するという強硬姿勢は滞納を解消することにも繋がらず直ちに改めるべきです。憲法25条生存権をも脅かすこのような市の姿勢を私たちは断固として認めるわけにはいきません。よって、議案第15号特別会計国民健康保険費予算について反対いたします。

次に、議案第17号介護保険費予算とそれに関連する議案第45号介護保険条例中改正についてです。今回介護保険費の基準額が3900円から4900円に値上がりしました。高齢者人口が今後ますます増え介護利用者も増えていく中、保険料が上がっていくのが当たり前といった考え方でよいはずがありません。市は国に対してこの根本的な問題点をただしていく姿勢を強めるべきと思います。よって、議案第17号特別会計介護保険費予算と議案第45号介護保険条例中改正について反対いたします。

次に議案第20号後期高齢者医療費予算についてです。本市には75歳以上の方が約52000人でそのうち法定軽減の方が5分の2いらっしゃるとのことです。このような状況で介護保険と同じように今回値上げが提案されましたし、私たちは元々制度の廃止を主張していますので、賛同することはできません。よって、議案第20号特別会計後期高齢者医療費予算について反対いたします。なお、本市の75歳以上の方々の医療の状況が後期高齢者医療制度となり、広域連合の管轄となった関係で把握しづらい状況であることが明らかとなりました。今後はぜひしっかりと把握できるよう努力をお願いするものです。

次に議案第23号市民病院事業会計予算についてです。

今回、市民病院では16名の看護師が新たに増員され、脳外科と新たにできる関節科が10床体制でスタートされるとのことで、ここについては努力を評価します。しかし、市民病院の産科休止に伴ってのNICUの廃止は非常に残念であり、公立病院だから担うべき特殊医療を手放さざるを得ない状況になっていることは重大だと考えます。また、新年度からうわまち病院の小児科医師の4名移動は心配される状況です。地域医療振興協会内での人事異動について市は詳細に報告を受けているわけではなく、今回のことも新年度の直前で伝わってきています。指定管理者と市の連絡の希薄さや、結局は市は医師を送ってもらう側だから強いことは言えないという立場が浮き彫りとなりました。診療科に影響が出なければ我慢せざるを得ないというような、消極的な姿勢は止めて、指定管理者にもしっかり市の意向を示すことが大切だと考えます。公的医療の在り方がさらに厳しく問われましたし病院機能の回復に至っていない今の状況では賛成することはできません。よって、議案第23号病院事業会計予算に反対いたします。

次に議案第34号職員定数条例中改正についてです。

私たちはこれまでも、職員の数を必要以上に減らすことに反対をしてきました。まして、昨年の東日本大震災では公務員のマンパワーが決定的な役割を果たしているのはご承知のとおりです。今回の定数改正も正規職員を減らし非正規職員に置き換えるやり方を助長することにもなり、賛成はできません。よって議案第34号職員定数条例中改正に反対いたします。

最後に議案第37号芸術劇場条例中改正についてです。私たちは指定管理者を決める際に何でも公募にすればよいと言う考えではありません。かつて、市営住宅の指定管理を引き続き指名で行うべきと指摘したと同じく、芸術劇場の指定管理者についても専門性が必要であり、競争性はなじまないものと考えます。よって議案第37号芸術劇場条例中改正について反対いたします。

以上をもちまして、日本共産党の反対討論といたします。