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2011年第4回定例会・ねぎしかずこ議員の一般質問

1 放射能に対する市長の危機意識と今後の対応について

(1)放射能に対する市長の危機意識について

3月11日以降、放射能に関する私の一般質問は、これで、3回目となります。

1回目には、「こどもと市民を守るために、放射線量の測定を」と提起しました。これに対し市長は「検討する」と答弁、その約束どおり市では、6月から7月にかけて、市内の全小中学校をはじめ、こども関連の諸施設で放射線量の測定が実施されました。

2回目には、「放射線量の、より丹念な測定を」と提起しました。これは、市内の道路側溝において、周辺と比べて高い放射線量を検出した私みずからの体験に基づくものでした。これに対し市長は「これまでの測定では、自然界のレベルの値だった」「18基のモニタリングポストが常時監視している」から必要ない、と答弁、丹念な測定はされずじまいでした。

しかし私が10月24日、鶴久保小学校のフェンス沿いに盛られた側溝清掃土から高い放射線量を測定して急遽、市は学校での側溝中心の再測定を開始、現在、全市立小中学校73校中測り終えた六十数中、半数以上の三十数校から本市の除染基準値を上回る高い放射線量を発する地点が側溝や側溝清掃土において、多数見つかっています。

教育委員会が、学校の側溝に溜まった土砂に放射能が含まれているのではないかと心配して、それを取り除く作業を各学校にやってもらおうとしたわけですが、そのやり方において、放射線量の測定をしないまま水で流すよう指示したり、または、現場でせっかく側溝清掃が実行されたにもかかわらず、その清掃土を校庭の隅のいつもの土砂の捨て場に野ざらしにしたりしたのも、市長の、放射能に対する姿勢が反映してのことではないでしょうか。

今回はたまたま学校敷地内での出来事でしたが、市内のどこにおいても、側溝や雨どいの下の土砂なども、同じような測定結果となることが予想されます。

市長はこれまで、横須賀市には、18基のモニタリングポストがあるから安心、という物言いをたびたびして来られました。

9月21日の本会議の際、放射能に関する私と市長とのやりとりのなかで、市長は、こう述べておられます。

「次に、こども関連の施設には、放射能測定器を配備すべきではないかというご質問をいただきました。本市は、かねてから原子力防災に取り組んできていまして、各種の放射能測定器を備えていますし、モニタリングポストが18基あり、大気中の放射線量を常時測定していることは、近隣他都市と決定的に異なる体制であると考えています。

先ほども答弁いたしましたが、学校や保育園、幼稚園の校庭、園庭の放射線量が自然界レベルであることは、これまでに確認をしていて、もし今後この数値が大きく上昇するようなことがあったとしても、そのことはまずモニタリングポストで覚知できると考えています。そのため、ご提案のようなことを行う考えはありません。」

こう述べておられたわけですが、それで覚知できなかったのが、今回の事態ではなかったでしょうか。出来得る努力は何でもやってみるべきではなかったでしょうか。

横須賀には、原子力艦とGNF―Jを監視するために18基ものモニタリングポストが備わっているわけですが、皮肉にもこれが、市長の、放射能測定に関する過信、ないしは慢心を生み出したとすれば、市民にとって不幸なことです。そこで質問いたします。

今回の事態にかんがみ、ご自身の、これまでの、放射能に対する危機意識がどうであったか、表明していただきたいと思います。

(2)小学校の側溝清掃土から高い放射線量が測定されたことから学び、対応すべきことについて

ア 除染が必要なマイクロスポットの存在を踏まえた市民への情報発信について

ところで市は、「広報よこすか」の8月号で、「さまざまな場で放射線量を調査」 という見出しの特集を組み、「健康への影響はありません」というメッセージを市民に送ってきました。「市長から市民の皆さんへ」と題した囲み記事も載っており、市長はその記事のなかで、「安心して日常生活をお送りください」と、言い切っておられます。

しかし、今回の事態が示しているように、横須賀市にも、除染が必要なマイクロスポットが存在することを踏えて、再度、市長から皆さんへ、発信し直していかなければならないと思いますが、どのようにお考えでしょうか。お示しください。

イ 放射線量測定体制の強化による測定範囲拡大について

放射能は、とにもかくにも測定してみなければ判らない、というのが、今回の教訓のひとつだったと思います。幸いなことに本市には、放射線量を測ることができる20数台の、精密な測定器が備わっています。今、これを本当に生かす体制を取るならば、学校のみならず、保育園や幼稚園などのすべてのこども関連施設やその他の民間も含む施設の測定にまで拡げていくことができるのではないでしょうか。市民の不安に応えようとするならば、測定の範囲の拡大と、それに対応できる体制の強化について考え直す必要があるのではないでしょうか。お考えをお示しください。

ウ 市民参加による放射線量測定実施の必要性および測定と除染にかかわる支援策について

また、それと併せて、貸し出し用の測定器を購入するなり用意して、市民参加の測定を可能にする方策をとるべきではないでしょうか。お答えください。市民参加で取り組めば、より数多くの測定と、より数多くのマイクロスポットの検出も可能となり、市内の除染のスピードも上がることでしょう。そして、何よりも、測る手段を持たない市民の不安を取り除き安心をもたらすという大きな意義があります。市みずから測定をしてみて、心配な箇所がなければ、要らぬ心配から解放されますし、マイクロスポットを見つけたとしても、それを速やかに除染することで、本物の安心を手に入れることができます。また、市民の測定への支援に加えて、除染の必要が生じたときは、その支援も行ってください。市長のお考えをお示しください。

エ 側溝を中心としたきめ細かな測定により判明した内容およびその結果を踏まえた市民安全のための取り組みについて

対応が後手後手になったとはいえ、今回の側溝中心のきめ細かな測定により、あらたに様々なことがわかったのではないでしょうか。まんべんなく降り注いだとみられる放射性物質も、よく測定してみれば、地域でその分布に濃淡が生じていたり、同じ場所であっても、まわりの地形や建物の位置や向きなどによっても左右されたのではないでしょうか。また、3月11日からの時間の経過のなかで、風雨が繰り返されるたび、側溝などのくぼみや吹きだまりに放射性物質が集まって濃くなることなどもわかったのではないでしょうか。どのようなことが判明したのか、具体的にお示しください。また、これらを、今後の市民の安全のため生かすことは、原子力艦船やGNF-Jが存在する横須賀市にとって、ひときわ重要なことと思います。そのためにどのような取り組みをされるのか、お示しください。

オ 東京電力に対する除染費用請求の有無および請求額の際縫う予算への組み入れ予定について

今回、市立小中学校のすべてで側溝中心の測定を行った際、何回か、ブルトーザーの出動もあったかと思います。その他もろもろの費用すべてを原因者に請求すべきであり、市長もこれまで、そのような意思を表明しておられるところです。

報道では、他自治体が東電に諸費用を実際に請求したと聞いてておりますが、本市でも、実際に請求しているのでしょうか。来年度の予算編成にあたり、原因者からの本市への支払いを予算に組み入れるお考えがあるのか、お聞かせください。

カ 原子力発電に頼らないエネルギー政策強化のために「原発はなくそう」とメッセージを発信することについて

市長はこれまで、同僚議員の方たちの質問に対しても、「原発の問題は国の問題」として、それに対するみずからの立場を明らかにしようとはしませんでした。しかし、「原発はなくそう」という意見表明をしていくということは、原発からの電力を消費してきた自治体にとって、それに頼らない電力をみずからが工夫し作っていくという、みずからの問題でもあります。ぜひ、原発に頼らないエネルギー政策を地産地消の立場で強めるという決意として、「原発はなくそう」とのメッセージをお示しください。

2 環太平洋連携協定(TPP)参加の問題につい

いま大変問題になっております環太平洋連携協定(TPP)参加の問題について市長のご見解を伺います。

これは国の問題ではありますが、地域経済、諸制度に広くかかわる問題でありますのでお答えください。

野田首相は、「関係国と協議に入る」のだから交渉参加ではないとか、APECから帰国後の参院予算委員会などでは、「国益を損ねてまで交渉に参加するつもりはない」とか「すべての物品、サービスを対象にするとはいっていない」といっておりますが、TPPはあらゆる関税をゼロにし非関税障壁も撤廃するものであり、日本政府も昨年閣議決定した基本方針ですべての品目を交渉対象とすると決めております。野田首相も首脳会議でその方針を説明したと認めています。

ですから、アメリカがAPECでの首脳会談後、「すべての品目、サービスを交渉のテーブルに乗せるという野田首相の発言を歓迎する」と発表しているわけです。

TPPに参加しようとすれば、暮らしと経済のあらゆる分野が交渉対象とされ、米国の対日要求が強要されることは明らかです。

米通商代表部の報告書などに明記された対日要求を見れば、食の安全、医療、官公需発注など幅広い分野について、規制緩和や米国企業の参入などを求めております。

食の安全の分野では、牛海綿状脳症(BSE)対策としての牛肉の月齢制限の緩和、残留農薬や食品添加物の規制の緩和、遺伝子組み換え食品の表示義務の撤廃などがあり、医療の分野では混合医療の全面解禁、株式会社の病院経営への参入、血液製剤の輸入規制の緩和などがあり、官公需発注の分野では公共事業(高速道路・都市開発など)への米国企業の参入などがあり、これらについて、国会でも「交渉対象とならない保証はあるのか。一つでも『ノー』といえるものがあるのか」と質問されましたが、野田首相は「対応が求められる可能性は完全には否定できない」とのべ対日要求を否定できず、「ノー」といえるものも一つもあげることができませんでした。

(1)TPP参加に伴うすべての品目、サービスの自由化による横須賀の地域経済や市民生活への影響に対する市長の認識について

そこで市長に伺いますが、TPPに参加し、全ての品目、サービスが自由化された場合、横須賀の地域経済や市民生活にどのような影響を受けるとお考えでしょうか。ご見解をお示しください。

(2)TPP参加に対するよこすか葉山農業協同組合からの要望書に対する回答内容について

よこすか葉山農業協同組合から市長のところにも「TPP交渉参加反対に関する要請」がなされていると思いますが、これにどうお答えになるつもりか伺います。すでにお答えになられたとするなら、どのように答えられたのでしょうか。伺います。

よこすか葉山農業協同組合の要請書に添付された資料を見ましても、市民生活に係わるあらゆる品目やサービスが列挙され、さきほどあげました対日要求がいかに日本の国益を損ねるものであるかが示されております。

(3)公共事業への米国企業の参入自由化により市内業者優先発注などが不可能になった場合の市内中小業者を守る手段について

対日要求にあげられております公共事業への米国企業の参入が自由化された場合、市内業者優先発注などはできなくなり、市内の中小業者を守る手だてがとれなくなると思いますが、いかがお考えか伺います。