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2011年第3回定例会、井坂議員の一般質問

私は貴重なお時間をいただきまして1つに原子力軍艦の防災対策について、2つ目に指定管理者制度にかかわる問題について、3つ目に事業仕分けの検討状況についてお伺いいたします。

まず、原子力軍艦の防災対策についてです。この問題は6月の定例会でも取り上げ、市長と論議を交わしてきましたが、私は福島原発の事故を受けて、これまでの防災対策が本当に実効あるものになっているのかを検証するとともに原発に対する防災対策が大きく変わろうとしているときに、原子力軍艦の防災対策も同様のものとなるためには、横須賀市からの積極的な働きかけが必要になっていると思っています。そのような問題意識から、市長にお伺いしていきます。

まず、6月の定例会の私の質問において国に問い合わせると言った原子力軍艦の関連施設、ガスタービン発電や純水施設などの津波対策について具体的にどのような問い合わせをしたのでしょうかお答えください。そして、その回答は来たのでしょうか、お聞かせください。

また、外務省に出した応急対応範囲とファクトシートの記述の違いについての要請書の回答は来たのでしょうか、合わせてお伺いいたします。

本市は9月11日に全市挙げての津波の避難訓練を行いますが、原子力軍艦にとっても津波対策は大変な課題です。元禄地震では、横須賀港でも4.6メートルの引き波があったことも記録されておりましたが、12号バースの水深は15メートル。原子力空母の吃水は12メートルです。元禄地震なみの津波が起こった場合、引き波によって船底が海底に接触するなど、大きな被害を受ける可能性が高くなっています。また、3.11の震災の津波の影響でハワイでは、原子力潜水艦が湾内に流されたとの報告もありました。このように原子力軍艦の津波対策は重要と思われますが、どのような対策がとられているのか確認する必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

さて、今度の福島第1原発の事故は、原発事故の恐ろしさとともに原発の技術が未完成だということを示したと言えます。

そもそも、原発事故には、他の事故にはみられない「異質の危険」があると指摘されています。

ひとたび重大事故が発生し、放射性物質が外部に放出されると、もはやそれを抑える手段は存在せず、被害は、空間的にどこまでも広がる危険があり、時間的にも将来にわたって危害をおよぼす可能性があり、地域社会の存続さえも危うくするという空間的、時間的、社会的にその危険が広がります。このような事故は、他に類をみることができません。

また技術的には、「軽水炉」という原子炉には、固有の弱点があると言われています。「軽水炉」のしくみは、運転中はもちろん運転中止後であっても、冷却水で炉心を冷やしつづけなければ安定性が保たれず、冷却水がなくなると、わずかの時間に炉心が溶け、コントロール不能に陥ってしまいます。す

なわち、冷却水がなくなった場合に、それを解決して原子炉を安定的な方向にむけていく、原子炉としての固有の安定性をもっていません。

こうした「軽水炉」の構造上の問題は、スリーマイル島事故で現実のものとなり、事故後の米国議会の報告書でも「軽水炉」の欠陥として指摘されていた問題でした。それが、今回の福島原発事故ではより深刻な形で示されることになったということです。

この2つの根本的な問題は、原発が陸上にあろうとも海上にあろうとも、また沸騰水型であろうと加圧水型であろうと同じであり、横須賀に来ている原子力軍艦の安全対策をいくら取っても根本的な問題を解消することはできません。

人類が原子力の危険からのがれるすべを今持っていないことを考えると、原子力空母の一番の安全対策は、原子力空母の母港を撤回することだと思いますが、改めて母港の撤回を求めるべきと思いますが、市長はどうお考えでしょうか、お聞かせください。

さて、市長はこれまでも原子力空母や原子力潜水艦など原子力軍艦については現実のものとして受け止めるとしか発言してきませんでしたが、母港の撤回を述べなければ、つまり現在、空母が母港としていることに沈黙するのであれば、それは受け入れたことであると言わざるを得ません。

私たちはこのような危険性を持っているからこそ横須賀に原子力軍艦を持ってくることに反対しているわけです。しかし、私たちも現実に今、原子力軍艦が横須賀にいる以上、事故が起きた場合に備えなければならないと考えています。

その上で、これまでの原子力軍艦の安全対策は、国の原発に対する安全神話の上につくられた対策であり、福島の事故にも見られるようにその対策は全く不十分なものでした。

これから国では、原発の安全対策や安全指針などが見直されると思いますが、それに合わせて横須賀の地域防災計画を見直すことは急務であります。

そこで現在の地域防災計画の原子力編の中でも当然改善が必要な問題について何点かお伺いいたします。

まず、原子力軍艦のオフサイトセンターはどこになるのでしょうか。わかっておりましたらお示しください。また、福島第1原発ではオフサイトセンター自身が避難すべき区域になってしまい、福島市に移動しましたが、その役割が全くと言っていいほど機能していなかったと言われています。

このような点を踏まえ、オフサイトセンターをどのようにするのか国に求める必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

それに関連して前定例会で県の防災計画にEPZが指定されていない問題を論議しましたが、市長は県の対応に特段問題がないとの答弁でした。

しかし原子力事故の場合、このオフサイトセンターの設置を含め広域的な連携が重要な課題がたくさんあります。このような問題を考えると、EPZの指定を含め今以上に県が積極的な役割を果たす必要があると思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

次に、事故があった場合の初動態勢の整備についてです。地域防災計画の中には「情報収集、連絡、モニタリング、避難等の応急活動を迅速・的確に実施するためのマニュアルを作成するとともに、訓練による検証等により、その充実を図ります。」とありますが、情報収集などすべてのマニュアルができているのでしょうか、お聞かせください。また、作成されていないのであればなぜつくられていないのでしょうか、お聞かせください。

次に、福島の事故でほとんど活用されず、避難区域の設定や避難経路の指示などに大きな支障をきたしたSPEEDIネットワークシステムを活用した情報提供についてですが、本市の防災計画でも原子力災害が発生した場合の対応の中に、「各機関が実施した緊急モニタリング結果及びSPEEDIネットワークシステムによる放射能影響予測は内閣府が取りまとめ本市等に連絡します。」とありますが、SPEEDIネットワークシステムが直ちに活用できるようになっているのでしょうかお聞かせください。また、今回の福島の事故で政府がこのSPEEDIの情報を国民に示さなかったことについてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

さて、次に避難訓練の課題について伺います。

私は、これから本市で行われる原子力災害の防災訓練は、被害想定、実施目的など福島原発事故の教訓を生かして見直しをする必要があると思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

市長は昨年の第4回定例会の時、避難訓練の被害想定が小さいのではないかという大村議員の質問に対して、「防災訓練は実施目的を定めて取り組むべきものであって、単に被害想定を大きなものとすればいいというものではないと考えています」と答えていますが、ここ数年行われてきたような小さい被害想定だけで福島原発事故のような事態に対応できる実効性ある訓練となると思うのでしょうか、お聞かせください。

私は昨年の総務常任委員会でも伺いましたが、防災訓練について地域防災計画には記載されているが今までやったことのない訓練が存在することなどを指摘してきました。また、地域防災計画は訓練などを通じて見直し、改善するという仕組みになっていますが、必要な訓練もしていないから改善もできない状態ではないでしょうか。今までの訓練を通じて見直しや改善がされたことはあるのでしょうか、お聞かせください。

また、今後は避難訓練などを行う際、より実効性を確保するためにSPEEDIネットワークシステムを活用した防災訓練を行ってはどうかと思いますが、市長はいかがお考えでしょうか、お聞かせください。

さて、何点か地域防災計画についてお伺いしてきたが、結局今のところでも不十分な点はたくさんありますし、今度の原発事故を受けて、国が早期に原発の安全対策を抜本的に見直す必要があることは明白です。

市としても現在の計画の見直し点などを含め、国に対して積極的に原子力軍艦の安全対策の見直しを要求すべきと思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

そして市長は、福島の原発事故を受け、この横須賀でも福島第1原発と同様の事故、もしくはそれと同等の規模の事故が起こると想定した地域防災計画が必要とお考えでしょうか、お聞かせください。

その対策が必要ないというのであれば、なぜ必要ないとお考えになるのかその根拠をお聞かせください。

原子力の利用については、今度の事故を受け大きな転換点を迎えようとしています。今までの考え方を脱却することが一番求められていると思いますので、将来を見据えた対応を市長に求めたいと思います。

次に指定管理者制度の関連で何点かお伺いします。

今年も暑い夏が続き、多くの子ども達が市営プールを利用したと思います。その利用者の中からプールの水の水位が低いのではないかとの意見をもらいました。

国は衛生上の問題から、オーバーフロー、プールの水があふれるようにするため、排水やオーバーフローした水の循環するシステムを構造上つくるように規定しています。

プールの水位が低いということは、このオーバーフローをしないということになりますので衛生上の問題が出てくると思われます。

さて、この問題に関して私達は、指定管理者制度を導入してからの水の使用料金を調査しましたが、その結果は極端に安くなっている状況でした。市が管理をしていた2006年の水道料金は約1825万円でした。指定管理者になった最初の年2007年には約2369万円となり、2008年には1310万円、2009年には916万円、2010年には1034万円と最初の年を除けば大幅な減少です。

プールはそれぞれの年の天候や入場者数などにも左右されるので、多い少ないはあると思いますが、指定管理者になってからの水の使用料金が低いことは明らかです。管理者が節水に取り組んで努力したという見方もできますが、半分近くに水道料金を減らす努力とはどういったものなのか、プールの水位が低いという指摘、水道使用料金の減少などの状況を考えると衛生上の問題を軽視した節水がされているのではないかと考えてしまいます。

そこで、市としてプールの水位が低いとの指摘を受け、どのような調査をされたのでしょうか、お聞かせください。また、指定管理者への対応はどのようにされたのでしょうか、お聞かせください。

水のオーバーフローは、衛生上の観点から行われるものなのできちんとした対応が求められます。

私は、この問題は単なる使用料金の減少、節水の問題というよりも、指定管理者制度での根本的な課題が含まれていると思います。

安い指定管理料でありながら、衛生上の基準を守らずにそれをカバーしようとするのであれば、これは大きな問題だからです。

埼玉で吸水口に少女が吸い込まれた事故もありましたが、これも指定管理者の吸水口の柵の管理が悪かったこと、また、今年になっても大阪で、プールで子どもがおぼれる事故がありましたが、ここでも指定管理料が少なく、監視員の人数が規定以下だったことも明らかになっています。

安全基準を守るというのは大前提の問題ですので、人員に限らず、衛生面でもこういうことがないように監督するのが市の役目でもあります。

あらためて、市長はこの指定管理者制度の課題についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。また、市が毎月指定管理者を評価しておりますが、そのあり方も再度検討する必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

次に事業仕分けについてうかがいます。

昨年10月に行われた事業仕分けは、すでに2011年度予算を策定している最中に行われたため、今年度予算に仕分け結果を反映したものはごく一部となりました。それ以外の内容については、2011年度中に検討することとなっていました。

これから各部局では、2012年度予算の策定に入ろうとしている段階ですが、当然、昨年の仕分けについても検討し、2012年度に反映させようとしているものもあると思います。

先日、いくつかの部局に仕分け結果の取り組み状況を聞くと驚くほど、仕分け人の指摘を反映させようとしている姿が見受けられました。

私はもっと仕分け人の意見が本当に妥当なのか、部局内での論議が必要と思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。また、仕分け人の意見に対してどのような論議をし、どんな点で仕分け人の意見が妥当だと判断されたのでしょうか。現段階での各部局の具体的な検討経過と検討内容はいまだに示されておりませんが、その内容を公表するべきと思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

また、市長は仕分けの効果をまとめて示すと述べておられましたが、いつ頃まとめられるのでしょうか、お聞かせください。

私が、仕分け人の意見に対し、部局内での検討が必要だと思うのは、仕分け人の意見が、現実に即していないものや地方自治という観点から明らかにおかしいというものがあると思うからです。

例えば、重度障害者手当についての意見などは、仕分け人が単に個人給付的な事業は国の仕事だという考えに基づいて、これは国が行うべきだからということで見直しなどの意見を付けています。また、他都市と比較すると手厚いから削減すべきだというような意見もありました。また、もっと必要なところに使うべきとの意見もありました。

しかし、現状を考えれば、障害者施策検討連絡会の意見交換会でも精神疾患を抱えながら作業所に通い、グループホームなどで生活している方からは、月8万円の年金だけではやっていけない。5000円の手当が本当に重要だということが切実に話されました。これは、国の現金給付の支援が不足しているから地方自治体がそれをカバーする形で行ってきたのが実情であり、いくら国の仕事と思ってもその現状をしっかり把握して生活している人の観点からの議論が重要なのではないでしょうか。市の補助をやめたら国が増額してくれるというのでしょうか。また、他都市よりも補助額が多いということについていえば、それだけ市として重度障害者の生活を支援しようとする姿勢の表れです。

他都市以上に給付をするのがおかしいというのであれば、子育て支援として各地域が導入している小児医療費助成制度などは、もっと少なくしろとでもいうのでしょうか。それぞれの自治体の財政状況を見ながらも安心して子育てができる状況を作り出しているわけです。

私は、他都市よりも進んだ制度をつくることで市としてなにを重視しているか示すことは必要であり、それが住民自治の大事な面だと言えると思います。

このように私自身は仕分け人の意見は妥当なものではないと考える内容がありました。一方で、市の担当者にとっては、本当に参考になった意見もあったかもしれません。

私は、このような観点から部局内でもっとこれまでの経緯や市としてどのような面を優先して強めていくのかなど、論議する必要があると思います。部局内での論議を進める上で市長はどのような検討を促したのでしょうか、お伺いいたします。