日本共産党横須賀市議団

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議会での発言
2023年3月3日

これが、3月定例議会での、議案第1号(一般会計補正予算)から第15号までの議案の賛否の理由です【2023・2・28】

討論する井坂直議員

日本共産党の井坂直です。

会派を代表して議案第13号と第15号を反対の立場から、議案第1号と第8号を賛成の立場から、討論を行います。

はじめに、議案第15号「漁港区域内駐車場の指定管理者の指定期間の変更について」です。

この議案は、北下浦海岸2カ所の駐車場の指定管理期間を、今年の9月30日まで半年間延長するものです。昨年の同時期にも同様の議案が出されており、当時の討論にて「指定管理者を選定することが困難となってから、運営方法のあり方を検討する事態は健全とは言えず、後手にまわっている市の対応を認めることはできない」ため、私たちは反対としました。

今回の委員会質疑の中で、「駐車場単体では採算が取れないので、仕様を変更し地域観光のために活用できるようにしたい。」という市の考えが示されました。地域住民の皆さんに丁寧に説明を行い、地元で行われているイベント開催も踏まえ地域の関係団体と共存する姿勢であることも、わかりました。また、この間に、港湾担当として指定管理以外の駐車場の運営方法を検討したのは、前回私たちが行った討論の指摘を受け止めたことによるものと思われます。

しかしながら、結果的に今後も指定管理者による運営を行うことについては、安定した施設運営が果たして可能なのか、物価高騰と光熱水費も上がるなかで、サービス向上と経費削減が確実にできるのか懸念が払しょくできません。現時点では、安定的な指定管理運営が見込めないことから、議案第15号を認めることはできません。

 

次に、議案第13号「地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例中改正について」です。改正理由として、建築物の容積率の最高限度の規定を改めるとともに、所要の条文整備を行うため改正するものであり、建築物の容積率の最高限度の規定について、今後は建築基準法や建築関連法令が改正されても、その都度、条例改正を必要としない引用表現に改めるというものです。

一般的には国会で法改正がされた場合、自治体の当該担当職員としてはその改正内容を把握したうえで、条例改正の事務をすすめます。他の条例や規則等への影響がないか、総務部の法規担当と綿密に確認しつつ、改正スケジュールや案文・新旧対照表の作成、審査を経て議会へ議案を上程するのが、おおまかな流れであり、地味ながらも時間と専門的な知見が必要とされる苦労の多い業務であることは、理解するところです。

実際に平成25年頃から容積率を緩和する法改正がほぼ毎年のように頻繁に行われており、今後も建築物の省エネ化を中心に法改正がされる見込みです。しかし法律が変わるということは、変えなければならない必要性・有効性・効率性・公平性など当然、改正理由があるはずです。

法改正の中身がどのように変わり、実際の市民生活にどのような影響があるのか、議会として把握する機会がなくなることはデメリットになると考えます。

また、建築物は幅広く、共同住宅から学校や病院・老人ホームなどの福祉施設や公共施設、商業施設などに関わり、当然消防局はじめ関係する部局も、その内容の変更について把握する必要がありますが、議案審議がなくなることにより執行機関側として共有する重要な機会も失うのではないでしょうか。

委員会における質疑では「法改正の際、関係省庁から所管する部局へ連絡がいき、また、総務部から横の連絡で共有が図れる」と答弁がありましたが、議会側としては、実際にきちんと共有されているのかをチェックする・確認する役割もあります。それができなくなることは議会として執行機関をチェックする機能低下につながるのではないでしょうか。また、条例は議会の議決を経て制定される自治立法であり、条例制定権は憲法上の地方自治の保障とともに、議会の重要な権能です。法改正の通知を執行部は得ることが出来るが、議会側は改正内容を知らされないままで自動的に条例が変わるのでは、対等の関係とは言えないはずです。

条例はつくって終わりではなく、その効果・有効性を検証する必要があります。

先日の委員会における議論を通して、条例改正の議案作成業務が減ることは業務軽減につながるとのことですが、対応できる職員が限られるなかで、現場では法改正の都度、新たな業務が増えることに対して、負担軽減を求める声をあげたことを、私たち議会側としても重く受け止めなければいけません。自治体業務が増加し、内容も複雑化・多様化する一方で、職員削減を求めてくる国の方針にも問題がありますが、総じて、これからのまちづくりを考えていくうえで、条例改正案に対する質疑が出来なくなり、議会としてのチェックが出来なくなることから議案第13号は反対とします。

 

次に議案第8号「水道事業会計補正予算」についてです。

今回の補正では、有馬浄水場の次亜塩素酸ナトリウム貯留槽2基のうちの一つが「予定外で」壊れたため使用不可能となり、浄水量が減少することから、不足する水道水を神奈川県内広域水道企業団から購入する受水費を増額補正するものが含まれています。

通常使用中にタンクから漏洩したとのことですが、数年前からタンク点検の際にクラック・亀裂等がある報告は上がっていたこと・耐用年数15年に対して23年間使用していたこと・令和5年度に大規模修繕を計画し、100日間の停止中にタンク2基の交換を予定していたことなどが質疑で明らかになりました。

私が現場の職員に聞き取りを行ったところ、今回の漏洩について業者から「補修工事は難しい」ことを言われており、現場サイドでは早めの交換を検討していたが、交換には浄水停止が必要であるため、令和5年度の計画に合わせて何とかもたせて使用していたこと等がわかりました。 改めて、今回のタンク交換計画はもっと早めに策定し、破損前に交換するべきと考えます。

この次亜塩素酸ナトリウムタンクは、生水である原水を最終的に消毒するための、いわゆる塩素の入ったタンクであり、衛生的な水を家庭に届ける過程で必要不可欠な設備です。

タンクの破損買い換えが「予定外で発生」したとのことですが、これまでの点検で経年劣化が進み、傷んでいることは浄水場から報告されていたことから、より早期の更新を検討することもできたはずです。上下水道局ではそれがわかっていたにもかかわらず、危機意識が不足していたことは否めません。

有馬浄水場職員はコロナ禍において、命の水をとめてはならぬと言う使命感をもってこの3年間従事していることは容易に想像できます。安全な水を安定供給させるという気概を持った現場職員の思いを踏まえ、本来はあってはならない事態であることを十分受け止めていただくよう指摘したうえで、議案8号に賛成します。

 

最後に議案第1号一般会計補正予算についてです。

今回の補正の中で、教育研究所の非常用発電機の改修工事費が計上されています。

この非常用発電機は、教育研究所・南図書館・南体育館の停電時の際、消火栓設備やスプリンクラー等の初期消火設備を動かす非常用電源ですが、昨年9月に老朽化により故障したため、改修工事を行うものです。

私たちが独自に調査したところ、現在、発電機が故障しているために停電時に火災が起きた場合、教育研究所と南図書館の屋内消火栓ポンプと三つの施設のスプリンクラーは稼働しない状態であり、消防局から指導を受けて、3施設合同で避難誘導訓練、消火器や非常用放送設備などの操作訓練、つまり消防訓練を2週間に一度行っていることがわかりました。さらに消火器も10本増設しています。

この訓練は少なくとも今年11月の工事が終わるまで行われる予定ということですが、近年は台風や地震、大雨など自然災害が深刻化しており、災害による被害を最小限にとどめる対応力が求められている時代です。

いざというときに動かない非常用発電機で、災害に強いまちと言えるでしょうか。

東日本震災から来月で12年を迎えますが、あのときの教訓は生かされているのでしょうか。

議会側としては、これまでも多くの議員の皆さまが災害対策について、問題提起を行ってきましたが、「壊れてから変える」という従前の考え方は、改める必要があるでしょう。

今回の補正予算を認める立場ではありますが、決してもろ手を上げて賛成ではなく、分科会で行う当初予算審議において関連するものには、質疑を交わしていく次第です。

 

以上で、日本共産党の討論とします。


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