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2010年第1回定例会「大村洋子議員の代表質問」

2月19日、市長の施政方針が示されてから、3月26日までの間、予算の審議を中心とした2010年第1回定例議会が開かれました。

3月3日、市長の施政方針と予算案に対する日本共産党の代表質問を、今年は大村洋子議員が行いました。以下、全文です。


日本共産党の大村洋子です。私は市長の施政方針並びに2010年度予算に対して日本共産党市議団を代表して質問いたします。

1 市長の市政運営の基本スタンスについて

(1) 施政方針の中に「チェンジ」が感じられないことについて
(2) 政策の中で前市政を引き継ぐものと変えるものとを明確にすることについて

まず、はじめに市長は施政方針の中で、「今日の横須賀があるのは、多くの先達・先輩諸氏によるご尽力の賜物」とおっしゃり「築き上げられてきたものを、さらに進展させていく」と続けられています。ここからは政策的に前市政をそのまま引き継ぎ推進すると受け取れます。もう「チェンジ」はやめてしまったのでしょうか。前市政を引き継ぐものと変えるものを明確にするべきと思いますが、いかがでしょうか。市民の皆さんも注目しているところですのでしっかりと、わかりやすく示していただきたいと思います。お答えください。

2 基地にかかわる問題について

(1) 施政方針に基地問題がない理由について
(2) 日米安全保障条約にかかわる問題について
ア 日米安全保障条約の基本認識について
イ 横須賀から出撃する米軍艦船が戦争している事実について
(3) 核密約について
ア 核密約が明らかになってきている現時点での市長の認識について
イ 横須賀市民が欺かれていたことについて
(4) 原子力空母GWのメンテナンスについて
ア メンテナンス作業開始前からの米軍の報告の有無について
イ 書面における情報のやりとりについて
ウ 詳細を明らかにするよう米軍に求めることについて
エ 米軍と結ばれた防災協定にのっとっての報告の有無について
(5) 原子力艦船の寄港増について
ア 「基地機能強化ではない」という認識について
イ 事故の確率について
(6) 基地を観光資源化する問題点について
ア 基地を観光資源とする認識について
イ 基本計画の中でうたわれている「可能な限りの米軍基地の返還」という考えとの関係について
(7) 「良き隣人政策」について
ア 「良き隣人政策」の認識について
イ 基地の観光資源化との関係について
(8) 国にはっきり「モノ」を言うことについて

本日の代表質問では、横須賀がかかえる様々な課題についてお尋ねしていきますが、まずは横須賀の特質ともいえる日米同盟について市長のお考えをお聞きします。私たちは歴代の市長に対し横須賀の市長である限り避けて通ることのできない問題として基地の問題を真正面から伺ってまいりました。吉田市長も是非率直にご自分の言葉でお答えをお願いいたします。

まず、第1になぜ、施政方針に基地問題が一言もないのでしょうか。お答えください。今年は1960年の日米安全保障条約改定から50周年の節目にあたります。この50年で世界の国家間の力関係は大きく変わり超大国が世界の国々を一手に牛耳るという勢力図は解体しました。世界の軍事同盟のもとにある国は31カ国で国連加盟国数の16%、人口にしても世界人口の16%に過ぎません。半世紀前は世界人口の67%が軍事同盟のもとにあったことを振り返れば、様変わりしていることはだれの目にも明らかです。市長は日米安保についてどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。

海外に駐留する米軍総数は約28万人でこの20年で半数以下に減っています。しかし、日本にいる駐留米軍の数は4万人前後とほとんど変わっていません。さらに、日本国内の米軍基地の面積は、自衛隊との共用も広がり1980年代以降2倍以上になっています。駐留米軍数、面積だけを見ても日米軍事同盟は世界の流れから外れ異常というしかありません。その中でも横須賀は、本土アメリカ以外では原子力空母の唯一母港になっています。安保条約改定から50年、この間ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン、イラクと日米同盟の名のもとに日本の地から多くの空母や戦闘部隊が出撃し罪のない人々を殺戮しました。この現実を思うと私は出撃基地の1つである横須賀に住む1人としていたたまれない思いです。市長はこの現実をどうお考えでしょうか。米軍が日本にいるのは日本を守っているからだという方がいますが、現実にはこの横須賀から出撃して戦争をしているというのがまぎれもない事実です。私が伺いたいのはこの現実についての市長のお考えです。お答えください。さて、これからは、今までのことを前提にして具体的にお聞きしていきます。

まず、核密約の問題です。ご承知のように日本には「非核3原則」があり核兵器を持たない、つくらない、持ち込ませないという国是があります。核密約の問題がクローズアップされてくる中、元外務事務次官の証言テープの存在によりやはり核が持ち込まれていたということが、明らかとなりました。市長はこの事実をどう受け止めているのでしょうか。お聞かせください。もはや「国の動向を見守る」という立場など許されないと思います。横須賀市民が欺かれていたことについて市長としてどのようなお気持ちなのかお聞かせください。横須賀には絶対に核を持ち込ませないという強いメッセージをお願いいたします。

次に原子力空母ジョージ・ワシントンのメンテナンスについてお尋ねします。先日の米海軍との定期会談においてメンテナンス作業の内容が報告されたわけですが、作業がすでに行われている中での報告というものに私は大きな違和感を持ちました。本来は作業開始前に説明があるのが筋だと思いますが、事前に報告があったのでしょうか。また、以前から我が団が指摘している書面によってのやりとりがきちんと行われているのでしょうか。お答えください。昨年のメンテナンスは1月から4カ月にもおよび1トンもの放射性廃棄物が発生し輸送船で米国へ搬出されたことが明らかになりました。また、米国下院議会における米太平洋軍キーティング司令官の証言で放射能管理施設CIFが横須賀に設置されていることが濃厚である旨の内容が出されましたが、この施設は陸上にはないという旨の発言に変更されています。私たちが疑問をもっているその施設は海上の施設であり、ますます疑わしいといえます。事の真相はどうなのでしょうか。市長として詳細を米軍に明らかにするよう求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。お答えください。また、一連のメンテナンス作業は米軍と結んだ防災協定に則っての報告としてあったのでしょうか。お答えください。

次に、原子力艦の寄港についてお尋ねします。湾岸戦争がはじまった1991年の31回をピークに減少していましたが、一昨年の原子力空母ジョージ・ワシントンの入港以来昨年は9年ぶりに20回を超え通算で800回を超えました。また、昨年1年の寄港日数は324日と前年の3倍にもなりました。動く原発ともいわれる原子力艦船がほとんど毎日横須賀にいるという状況です。昨年8月には原子力空母ニミッツが横須賀に入港しました。神奈川新聞が「地ならし」という表現を用いたように、ただならぬ事態にもかかわらず市長は「基地機能強化ではない」と発言されています。これでは、危険な原子力艦に対してどうぞご自由に寄港してくださいと言っているようなものです。改めてお尋ねいたします。原子力艦の寄港増加、13号バース建設などみても基地機能が強化されていることは明らかだと思いますが、市長は基地機能の強化ではないとお考えでしょうか。お答えください。また、原子力艦船の寄港回数の増加は事故の確率が高まると思いますが市長はどうお考えでしょうか。お答えください。

次に基地の観光資源化についてお尋ねします。2月2日付けの神奈川新聞1面には「深化する相互依存」という大きなタイトルの横で市長とウィード基地司令官が「チーズケーキ」を頬張る写真が掲載されました。基地を観光資源と位置付ける蒲谷前市長の施策について、私たちは強く反対してきました。「YOKOSUKA軍港めぐり」や「ヨコスカ・ネイビーバーガー」に続き吉田市長も「ニューヨークスタイル・チーズケーキ」をアピールしています。改めてお尋ねしますが、吉田市長にとって基地は観光資源でしょうか。お答えください。本市は基本計画の中で、「可能な限りの米軍基地の返還」をうたっています。基地を観光資源として活用するそのスタンスでは、基地の存在が大前提となり「可能な限りの返還」と矛盾すると思います。いかがでしょうか、お答えください。

さて、市長は米軍が駐留地市民に対して任務遂行上の戦略として「良き隣人政策」というものをおこなっているのをご存知でしょうか。お答えください。私は2007年の第3回定例会で、その年の夏に起こった米兵犯罪に触れながら、米兵の本質について当時の蒲谷市長に質問しました。その後、タクシー運転手の汐入での刺殺事件が起こり米兵の基地外居住や逃亡のことが大きく問題になりました。さらに忘れてならないのは2006年米が浜で起こった強盗殺害事件です。横須賀市民の女性が酔った米兵の犠牲になりました。

最近でも器物破損や暴行事件が起きているなど、米兵犯罪は後を絶ちません。

横須賀市が長年に渡って行っている、米海軍も入っての「神輿パレード」や「日米親善桜まつり」、そして米海軍レシピによる食べ物の売り出しや「軍港めぐり」などこういった基地の観光資源化が市民が犯罪に巻き込まれる遠因になっているとしたら、これは放っておけないことです。「良き隣人政策」でイメージアップを図りたい米軍を市がバックアップしているような一連の基地を観光資源化する施策について市長はどうお考えでしょうか。お聞かせください。

米海軍基地にかかわることの最後に市長と国との関係についてお尋ねします。本市は長きにわたり米海軍基地があることから他都市とは違う意味で政府との関係が特別だといえます。過去においても2006年には原子力空母の母港化について当時の外務大臣麻生太郎氏が直接本市を訪問するなど、本市は国家全体からみて日米安保条約上要をなす非常に重要な自治体であることがわかります。このような自治体である本市の首長に「官僚政治」からの脱却ともいえるスローガンをかかげあなたは市民の信任を得て市長に就任されました。今までの市長は「専権事項」という言葉を何度も使いあたかも国には何も言えないかのごとき発言を繰り返しました。国に対してしっかりとモノが言える市長を市民は期待しています。改めて決意をお聞かせください。

3 財政問題について

(1) 予算編成の基本姿勢について
ア 市民生活を支える役割を市が積極的に担っていくための予算編成のあり方について
イ 市財政の悪化原因及び政治責任について
ウ その内容を財政計画の中で市民に公表していくことについて
(2) 市債に対する基本的な考え方について
ア 市債現債高をどの程度まで下げるのか、その目標設定について
イ 市債発行額を市債償還額以下に抑えることは重要と考えるが、その割合を75%に抑える理由について
(3) 介護の質を確保することについて
ア 特別養護老人ホームの補助金が他都市と比べて余りにも低いことについて
イ 介護施設の充実と介護の質の確保について

次に、財政問題について伺います。日本経済の悪化を受け、市民生活も厳しい状況が続いています。2010年度の予算案でも、歳入面で市税が32億9000万円の減収となり、その内個人市民税が約20億円の減、法人市民税が約9億円の減となっており、市民の所得が減少している状況が明らかとなっています。

また、歳出面で見ますと扶助費の増が目立ちます。子ども手当て分を除いたとしても生活保護費や障がい者サービスの増などによる扶助費の増加も20億円となるなど、歳出面からも市民生活の厳しい状況が現れています。

私たちは予算編成にあたり、市が積極的に今の厳しい市民生活を支える役割を担っていくことが第1だと考えておりますが、この点について市長はどのようにお考えになっており、どのように予算案に反映させたのでしょうか、お聞かせください。さて、一般会計の予算案全体を見ますと市税収入の減があるとはいえ、地方交付税や交付税の振りかえである臨時財政対策債の増額などで、約30億近くの増が見込まれています。また、政府の新たな方針によるこども手当の創設により、国庫支出金が大幅な増となった結果、全体的には予算規模が5.8%と大幅な増となり、子ども手当分を抜いても2.4%の増となっています。

市財政についてまず市長にお聞きしたいのは、市財政が厳しい状況になった原因をどのように捉えているかについてです。施政方針をお聞きした限りでは、市財政の悪化を経済状況の変化という現象面だけで捉えておられるように感じます。私は、経済の悪化をもたらしたその根本には、国が必要なルールを壊してきたという政治の責任があると思います。そのことについて市長はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。また、それらの内容を財政計画の中で市民に知らせることが本当の意味での市財政の状況を理解する要因となると思いますが、市長のお考えをお聞かせください。

次に市債の問題についてお伺いいたします。

一般会計の市債の状況は、2010年度末で普通債は25億7000万円減少し、1085億400万円、一方、臨時財政対策債は24億4000万円増えて599億7000万円となり、臨時財政対策債は一般会計の市債全体の35%を超える状況で、毎年増えています。市長は市債を減らす姿勢を示していますが、市債がなかなか減らないのは、臨時財政対策債の増にありますので、表面の数字だけとらえて減らすといっても無理があります。市長はなぜ、市債発行額を市債償還額の75%にしようとしているのか。75%の根拠をお示しください。確かに本市の一般会計の市債残高は今後のことを考えるともう少し下げる必要があるとは思います。しかし、いつまでにどのくらいまで下げるのかが示される必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。また、それは会計別に行う必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

私は、必要な事業への起債はしっかりと行うべきと考えるので一つの例として特別養護老人ホームの補助金の問題を挙げて示したいと思います。

昨年から始まった第4次介護保険事業計画に基づき2010年度から300床を整備することになっています。しかし、この補助金が他都市と比べてあまりにも低いのが現状です。今回横須賀市は1ベッドあたりの補助金を200万円としていますが、横浜では1ベッドあたり370万円、川崎は370万~550万円、相模原は450万円とのこと、また、藤沢は県からの補助も合わせると1ベッドあたり650万円、茅ヶ崎も430万円との状況で、横須賀市の補助額があまりにも少ない状況です。「300床をつくるだけの数合わせの計画か」と疑問を持つ人もいます。

さらにこの補助金の財源として市債の発行が認められており、償還は全額交付税措置され、基準財政需要額に算定される仕組みになっております。 他都市と比較してあまりにも低い水準に補助額を落とさなければいけない理由とは何でしょうか。

補助が少ないということは、当然事業者の借り入れが増加し、今後の施設運営にしわ寄せがくることは明らかです。

このような状況を市長はどのようにお考えか、お聞かせください。また、特別養護老人ホームへの補助が少ないことについてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。特別養護老人ホームへの補助は、老健施設への補助と合わせたとのことですが、本当に質の良い介護を実現する上でそれでよいのか問われるのではないでしょうか。市長は、マニュフェストの中で特別養護老人ホームの増設をうたっていますが、このような状況では、単なる数合わせといわれてもしょうがないのではないでしょうか。介護の質を市長はどのように捉えておいでなのか、合わせてお聞かせください。

4 事業仕分けについて

(1) 対象事業について
(2) 現場の声を反映させることについて

次に「事業仕分け」について伺います。
国においても民主党政権がおこなって注目を集めましたが、もともとこの事業仕分けは新自由主義的な「小泉改革」の流れをくむもので、その採用には慎重さが求められると考えております。私たちは一定の情報公開がすすむという点で評価できる面があると考えておりますが、本当にむだな事業が仕分けの対象になるのか疑問に思っております。また、自治体の場合、国と違ってかなり細かいことまで議会の予算・決算で審議されますし、仕分け人が外部とか民間人といってもどのような視点で仕分けをするのか、市民のくらしを守るという仕分けの視点が必要だと思います。効率性の観点ばかりで現場の意見を反映しない乱暴なやり方では市民にとってプラスにはならないのではないでしょうか。
仕分けの結果、市民負担がさらに増大し、市財政は改善されたが、市民のくらしが成り立たなくなったというのでは何のための改革なのかということになってしまいます。そこで伺います。先の質問者と重複する点は割愛しますが、1点だけお聞きしたいいのは、現場の声をどのように反映させるおつもりなのかということです。お答えください。

5 基本計画について

(1) これまでの基本計画の点検と評価について
(2) 第4次の次の実施計画について
(3) 新たな基本計画と新世紀ビジョンの関係について

次に基本計画の策定について伺います。

横須賀市基本構想は2025年を目標年次として1997年度に議決されました。いま策定されようといている基本計画はこの基本構想に基づく後半の基本計画となるわけですが、4次にわたる実施計画を策定してすすめられてきた前半の基本計画の点検と評価についてどのようになさっているのでしょうか。お聞かせください。これまでの基本計画に基づく最後の第4次実施計画は2007年度から2009年度までの3カ年の計画でした。同時に2007年度を初年度として新世紀ビジョンが策定されており、第4次実施計画との関わりが示されております。その新世紀ビジョンはおよそ十年ということです。
新世紀ビジョンには第4次実施計画が終了する3年後の2009年に「点検と評価結果」を踏まえて見直しを検討し、2010年度を初年度とする実施計画の策定にあたってこの「点検・評価結果」を参考として有効な事業を立案していくこととするとしていますが、第4次の次の実施計画はどのようになっているのでしょうか。お示しください。

また、新たな基本計画の素案には新世紀ビジョンとの関わりが何も示されていませんが、計画期間がダブっているのでこの「基本計画とビジョン」はどのように位置づけられるのでしょうか。お答えください。

6 暮らしにかかわる問題について

(1) 市民生活が厳しい今の状況について
ア 市長が市民生活の現状に余り触れない理由について
イ 市が市民の相談相手になることについて
(2) 国民健康保険について
ア 生活困窮のため国民健康保険料を納めることができない世帯への対応について
イ 国民健康保険料の減免の周知について
ウ 資格証明書の発行世帯について
エ 資格証発行と生存権がうたわれている憲法第25条との関係について
オ 資格証の発行をやめることについて

次に市民の暮らしを守るという観点からいくつかお尋ねいたします。厚生労働省は昨年10月、初めて日本における「相対的貧困率」を発表しました。15.7%ということで、OECD加盟30カ国中4番目に悪いことがわかりました。この数値を人口に換算すると日本人の6人に1人は貧困層であるということになります。しかもこの貧困率は2006年の実態から出している数値ですので、現在はもっと悪い状況になっていると考えられます。国全体の状況を踏まえながら本市に目を向けてみますと、生活保護受給率の増加が目立ちます。2001年4月の時点で本市の生活保護受給世帯は1962世帯であったのに対し直近の2010年2月の時点では3226世帯となり9年間で1.64倍にもなり市民生活の実態が大変厳しいものであることがわかります。しかし、施政方針では市民生活の実態をリアルに捉えどう感じているかが伝わってきません。市長は施政方針の中で、「市政の主体は市民」「市民の福祉の増進」という地方自治の理念につねに立ち返り市政運営を行うと述べられています。私はそのために一番大切なことは市民生活の実態をしっかりとらえ、心で感じることだと思います。私は市長が市民の生活状況をもっと率直に発言してほしいのです。市長がこの点についてあまり触れられなかったのはなぜなのか、お聞かせください。さて、市民の悩みは多岐に渡っており、市にはさまざまな相談ごとが寄せられていると思います。ですから、とりわけ今、全ての部局が仕事上生じてくることを通じて市民の相談相手になることが強く求められていると思います。いわゆる縦割りではなく、横断的に連携をして市役所に相談してよかったと来庁者に感じてもらえるような温かい体制が必要と私は思いますが、市長はどうお考えでしょうか。お聞かせください。

次に国民健康保険について具体的に何点かお尋ねします。「よくわかる国保」というパンフレットの最新のものを見ますと、市が持っている国保料の減免規定が変わったことがわかります。以前は災害については減免になっても生活困窮まで認めるかというとそうではなかったと私は認識しています。ですから、今回減免の枠が広がったことは市民にとっては助け舟であり、待たれていた内容だったと思います。実際に生活困窮が理由で減免となった世帯も50を超えていると聞いています。私はこのような姿こそ、困っている時の市役所の在り方だと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。今の市民生活の実態を考えるとき減免制度のことをもっと広く知らせる必要があると思われます。市長のお考えをお聞かせください。しかし、一方で国保料の滞納者には資格証を発行するという冷たい状況もあります。現在資格証明となっている世帯数は何世帯でしょうか。お答えください。私たちは資格証明の発行は受診抑制につながり生命や健康に大きな影響を与え憲法25条にうたわれている生存権との関係で許されるものではないと考えていますが、市長はこの問題をどうお考えでしょうか。お答えください。この際、資格証の発行はやめるべきと思いますがいかがでしょうか。お答えください。

7 子どもの問題について

(1) 子どもの健康を支える体制づくりについて
ア 小児医療費助成制度の拡充について
イ 電話による子どもの医療相談の体制づくりについて
(2) 中学校完全給食実施に向けての検討開始について
(3) 学費滞納生徒を処分するとした規定の削除について
(4) 学童保育について
ア ひとり親世帯への助成の拡充について
イ 障がい児受け入れ助成と家賃補助などの取り組みについて
ウ 全国で一番高い保護者負担軽減のためのさらなる取り組みについて
(5) 不登校やいじめ問題への取り組みについて

次にこどもの医療費窓口負担の無料化についてお尋ねします。これに関して市長は、市長選でのマニュフェストで、「任期中に取り組みます」と掲げています。小児医療費助成制度については、国の制度として確立せず、もっぱら地方自治体で担ってきたところです。

新政権に対し国の制度として小児医療費を無料にするよう、おおいに働きかけていただきたいと思いまが、いかがでしょうかお答えください。 本市が昨年3月、「子育ち支援アンケート・青少年アンケート」結果の報告書を出しましたが、それによると、アンケートの自由記述欄には、住民基本台帳から無作為抽出された就学児童(小1~6)の保護者約千人のうち72人から、「児童手当・小児医療費助成等の経済的支援」を求める書き込みがありました。書き込み件数総数のなかでも、この内容の書き込みは比較的上位となっております。

今、自治体の多くでは「就学前まで」無料枠が拡充されており、近隣では小学校6年生までというところもあります。新市長として予算を初編成する今回、はじめの1歩を踏み出してほしかったと残念です。少なくとも、これまでの就学前から1年でも上限枠を拡げ、また、所得制限をなくしていくべきだったのではないでしょうか。4月以降も所得制限が残るのは、三浦半島内で横須賀だけになろうとしています。

市長のこの取り組みに関する熱意のほどを聞かせてください。こどもの医療に関しては、医療費の軽減とともに、保護者への適格なアドバイス体制も求められています。昨今では、新型インフルエンザ流行もあり、判断がつきかねる初期から、専門家の的確な指導が適宜必要です。市長も、救急医療センターの改善に関するマニュフェストの中で、「1年間に救急医療センターを利用する救急患者数4万弱の半数が小児科だとの実態を示しながら、24時間無休の救急電話相談を先行させていきたい」と語っておられます。ある小児科医の話では、診療に訪れるこどもの多くは、病院や診療所に連れてこなくとも、家で安静にするなど、適切に経過を見守ることで治癒に向かうとのこと、しかし、先ほど述べましたような昨今の事情などもあり、こどもを連れてきてしまうケースも多々あるでしょう。そこで、電話などでこどもの症状を伝え、専門のスタッフから的確な判断を仰ぎ、来院の適否や来院のタイミングを指示してもらえる体制が急がれます。この公約の早期実現を、市長はどう図っていくのか、お答えください。

次に、中学校完全給食の実施について伺います。これについては、市長のマニュフェストでは掲げられていません。目指したいという思いもないのでしょうか。まず伺います。本市教育委員会が弁当注文を数年前から始めたにもかかわらず、中学校完全給食を望むたくさんの声があり、昨年の代表質問でも、前市長に対してではありましたが、我が団として質問いたしました。 文部科学省が行った全国の公立中学校の完全給食の実施状況は、2006年の段階で79,9%となっています。遅れているといわれる神奈川県内では学校数では2割くらいが、自治体数では近々始まる2自治体を合わせると15自治体が完全給食を行っている状況で、半分近くの自治体へと広がるまでになっています。国も、2008年3月に改定した中学校学習指導要領で、「食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成」を掲げ、学校給食を、その取り組みにおいて中心的な指導の場として位置づけるようになりましたし、必要性は増すばかりです。そして何よりも、どのこどもにも等しく充分な昼食が準備されることが大事で、それには、完全給食の実施がベストと考えます。 実施した学校現場から共通に聞かれる話ですが、みんなで一緒に食べる、という分け隔てのなさからか、話が明るく盛り上がるとのことです。教育にもたらす効果は、計り知れないものがあると思います。

昨年(2010年度)から始まった北九州市では、親子方式といって、近隣の小学校の給食室で調理し、保温食缶で配送するやり方をとっています。小学校の生徒数が減少している今、ひとつの方法ではないでしょうか。また、いっせいに始めるのではなく、3年かけて順次行うといいます。 財源がないから、場所がないから、と、あきらめるのではなく、どうやったら進めることができるか、など、まずは前向きに検討していく姿勢が大事ではないでしょうか。市民メンバーを含む検討会を立ち上げ、本市に合った知恵出しをしていくことが肝心と思います。市長のお考えをお聞かせください。

次に高校授業料無償化に関連して伺います。本市は、授業料の滞納者に対して、出席停止・除籍の処分を条例で規定してきました。この条例の制定時より、このような規定は定めるべきではないとわが団は反対してきたところです。このたびの国の無償化に際し、本市市立学校の授業料等に関する条例第6条の滞納者の措置に関わる規定を削除すべきと思いますが、市長のお考えを聞かせてください。
次に学童保育に関して伺います。このたびの予算にひとり親家庭の児童の受け入れ加算を掲げたことは、一歩前進と思います。しかし、補助額が児童一人あたり3000円とのこと。日本一高いとも言われる横須賀の学童保育の保育料からすれば、決して十分な額とは言えず、今後、他都市並みに増額していくことが求められていると思います。いかがお考えでしょうか。お答えください。また。市長はマニュフェストで、障がい児の受け入れ加算、家賃補助等についても「すぐやりますが、予算化が必要なので、2年目までには実施します」という注釈つきで掲げていらっしゃいます。今後の方向性についてどうお考えかお聞かせください。

さらに、2009年9月に行われた市長の所信表明の際、井坂新哉議員がマニフェストを超える取り組みについての質問に対し市長は、「保護者の負担を引き下げるために、障がい児受け入れ加算や家賃補助の拡大などのほかに、小学校の空き教室の利用の促進や、運営にかかる基礎的な経費に対する補助の拡充を検討していきたいと思っています」と答弁されております。これらについても、その見通しをお示しください。2010年度に検討していかれるのか、お示しください。

次にいじめ・不登校問題についてお尋ねします。市長は、「NPO・市民団体・町内会等と連携を深め、学校だけの問題としてではなく、地域の問題として取り組みます」とマニュフェストに掲げていらっしゃいます。この問題に関しての市長の就任後の取り組みと、予算への反映を、お示しください。

8 市民病院の問題について

(1) 4月からの指定管理者制度の導入によって市民病院の機能が縮小することについて
ア 指定管理者になってもこれまでの体制をそのまま続けると説明してきたことについて
イ 機能が縮小する状況になった現在、指定管理者制度のメリットをどのように感じているかについて
(2) 機能が縮小する市民病院の今後の機能強化について
ア 常勤医師のいなくなった診療科再開の基本的な方向性について
イ 神経内科の再開について
(3) 市と指定管理者の関係について
ア 市としての評価機能の充実について
イ 指定管理者の指定解除について

次に、市民病院の問題についてお伺いいたします。

前市長をはじめ担当部が、さまざまな場面で指定管理者になってもこれまでの体制は変わらないと説明してきましたが、現実は大幅な縮小となりました。まず、このことについて市長はどのようにお考えか、お聞かせください。

市長はわが団の第3回定例会での代表質問に対し、前市長と同じ立場だから所信表明に入れなかったとの答弁をされておりますので、前市長の方向性を引き継ぐとの意見です。現在に至った責任についてもどう感じているのか、お聞かせください。現段階では医師の確保ができず診療科の削減が行われ、赤字補てんのための交付金の支出を行うなどの状況になっていますが、第4回定例会の民生常任委員会で市長は、井坂議員の指定管理者制度導入のメリットは何かとの質問に将来的に人件費を下げることなどで赤字運営の解消が期待できるといっています。この答弁によると市長は、財政的なことだけが頭にあり、人件費を下げたかった。つまり職員の給与削減をしたかったと受け取れます。私は、市長の認識の甘さとこの問題に対する真剣さの不足があると感じました。

市民のための病院としてどう良くするかという課題を病院経営だけにとらわれるのではなく、市政の問題として捉えなければならないと思います。改めて市長は指定管理者制度導入のメリットをどのようにお考えかこの際はっきりとお示しください。

さて、私たちは、指定管理者制度の導入に反対をしており、その姿勢は変わりませんが、すでに4月移行があと1カ月を切ったという状況ですので、診療科の削減によって影響の出る市民の受診の困難な状況をどう緊急に改善するかは大きな課題と捉えていますが、市長はどのように考えておられるでしょうか、お聞かせください。とりわけ、神経内科の削減については障がいを持つ子どものお母さん方からは大きな不安の声が上がっています。神経内科はうわまち病院にも専門医がおらず、結局市内では診療が受けられない状況になってしまいます。これまで粘り強く市と交渉してやっといい方向に向かっていた状況を崩してしまったということですのでその責任は重いといわざるを得ません。早期の診療開始について市長はどのような決意をお持ちでしょうか、お聞かせください。この問題は病院長にも合わせてお答えいただきたいと思います。

次に、今後の課題として指定管理者の評価をどのようにしていくかの問題もあると思います。市の直営で行っているときには病院運営のノウハウが蓄積されていきますが、民間に任せるとそのノウハウは失われていくと思います。

病院運営に携わっていない職員がどのように実情を評価するのでしょうか、そんな簡単にできるものなのか疑問に思うところです。

今、うわまち病院の評価を行っていますが、内容は表面的なものとしか言えないと思います。これから評価機能を強化することについてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

また、今回うわまち病院の事務部長が覚せい剤取締法違反で逮捕されました。いくら市の職員でないとはいえ、看過できる問題ではありません。個人の問題といわれるかもしれませんが、労働環境に問題がなかったのかなどの検証も必要と思いますが、どのように対応されるのかお考えをお聞かせください。

また、このような事件を受けてこれからの市の課題として捉えておかなければならないのは、管理者の指定解除の問題です。今回のケースですぐに指定解除するべきというつもりはありませんが、市として管理者が不適切と認められるような状況があった時には管理者を変える選択肢も持っていなければなりません。現に横浜の救急医療センターでは、管理者が不正経理を行っていたにもかかわらず、結局、引き続き管理をお願いするという状況になっています。市として指定解除について考えをまとめておく必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

9 ごみ処理広域化について

(1) ごみ焼却場の建設地の決定について
ア 唐突な建設地決定報告と住民の反応について
イ 建設地決定の経過について
ウ 戦略的アセスメント(SEA)について
エ 今後の地域住民との話し合いについて
(2) 施設建設の検討について
施設建設に当たっての市の姿勢とこれまでの広域化基本計画について
(3) 焼却施設の建設と地球温暖化防止対策との整合性について
ア バイオガス化施設建設に当たって、国の資金面・技術面でのさらなる支援の要請について
イ バイオガス化と全量焼却施設における地球温暖化防止対策との整合性について
ウ 市としての低炭素社会の実現に向けた取り組みの一貫性について

次にごみ処理問題にかかわって伺います。

我が団としても、計画地の発表について唐突な感をもちました。

いきなり建設地を決定したという説明はその検討経過が明らかになっていない状況で市民感情として納得がいかないのは当然のことと思います。市は、これまで市の最終処分場建設に際して複数の候補地をあげ、その地元の方々と話し合いをするとの姿勢で取り組んできました。それが、広域化との関係で中途半端に終わったとはいえ、その姿勢は重要なものだと思っていました。今回はその姿勢を変えた状況になっていますが、今後本当に市民の理解を得ることができるのか、不安になります。ごみ処理の問題は市民の日常の課題であるとともに市が取り組む重要な課題であるだけに市民の理解と協力は一番大切な問題です。先の質問者の質問と重複しますので、ここは指摘にとどめます。計画地選定に関連して1つだけお聞きしたいのは戦略的アセスメントについてです。

2月15日の締め切りで国のパブリックコメントに付されていた環境影響評価の改正案の中に戦略的アセスメントの法制化があります。これは、現在の環境アセスが事業が決まった後に行われるため、アセスの内容を事業決定前に反映することが難しいことから、事業決定される前にアセスを行い、事業の必要性をはじめ事業内容についての評価を行うというものです。これは、多くの国で取り入れられていますが、日本でも埼玉県での条例制定を始め京都市などでも条例化されています。

その中に事業の候補地の選定については複数を選び比較検討すること。そして、その内容を公表することなどが盛り込まれています。

どんなに必要な施設であっても、地域住民の方たちは、なぜこの地が選ばれたのか、他に候補地はなかったのかという疑問が残るのは当然だと思います。だからこそ、戦略的アセスの手法をとることが大切になっていると思います。

市長は、この戦略的環境アセスについてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。そして、今回の建設地決定に際して法制化されていないとはいえどうしてこのような方式をとらなかったのか、お聞かせください。

次にごみ処理施設についてうかがいます。

今回の予算案では、可燃ごみの処理方法について検討委員会を設置する内容があります。この検討委員会でバイオガス施設の是非についても検討するとのことですが、市として現計画は白紙に戻したということなのでしょうか、それともあくまでも現計画を基本として推進するという立場なのでしょうか、お聞かせください。

さて、私たちはバイオガス化については、ごみ焼却量を減らす上で大きな役割を果たすと考え、温暖化防止対策にとって注目される取り組みと思っています。しかし、全国では本市規模の施設が建設されておらず、本当に安定的に運転がされるかについては、一程度の不安はあります。ですので、先進的な取り組み事例の一環として国に対してこれまで以上の資金面、技術面での支援を要請する必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか、お聞かせください。

バイオガス化の取り組みは市の温暖化防止対策にとっても効果は大きなものがあります。資料によれば、今よりも3700tの削減で市が持っている計画の9%の実現効果があります。一方全量焼却では今よりもCO2の排出が年間5100t多くなり、温暖化防止に逆行する状況になってしまいます。この状況をどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

また、市は経済対策の一環としてではありますが、低炭素社会を目指してとして、日産の電気自動車の支援を行う方針です。ごみ処理はCO2排出を多くし、一方で市独自措置として低炭素社会を目指して企業を支援するのでは、市の政策の一貫性が問われるのではないかと思います。

地球温暖化対策実行計画を作ろうとしている市としての施策の一貫性についてどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。

いずれにしてもどのような施設をつくるかこれから論議がされるところだと思いますので市長のお考えをお聞きいたします。

以上で私の第1問といたします。