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令和3年3月定例議会での日本共産党の代表質問です。

代表質問

以下、2月26日に行った代表質問の全文です。


日本共産党の大村洋子です。

2021年度予算案並びに市長の施政方針について会派を代表して市長、上下水道局長、消防局長、教育長に伺います。

昨年1年間、そして今年に入っても新型コロナウイルス感染症への対応に緊張を強いられる毎日となっています。「資本主義の限界ではないか」「新自由主義の弊害だ」との主張も久しく、私たちはこのコロナパンデミックを今一度俯瞰的に捉える時期になっているのではないかと感じます。

カール・マルクスは「資本論」の中で、資本主義的生産が、利潤第一主義による産業活動によって、人間と自然との「物質代謝」を「攪乱」するという告発を行っています。この物質代謝の攪乱という考え方は21世紀の今日、私たちの目の前で起きている地球的規模の気候変動と感染症の多発の根源へと迫るものを示唆しています。世界自然保護基金(WWF)によれば西アフリカのギニアの森林では、カカオ、パーム油、ゴムなどの農産物の栽培によって大規模に森林伐採が行われ、そのことにより人間とオオコウモリや霊長類などの潜在的なエボラ宿主種との接触が増加し、宿主から人間への感染の可能性が高まるとのことです。先進諸国が発展途上国へ無秩序に進出し自然環境破壊を繰り返しながら、地球温暖化とウイルスの出現頻度を高めているのではないかと言われています。私たちの快適な暮らしはこのようなグローバル社会の構造の上に維持されています。私たちは地球のためにと言って、レジ袋を削減してマイバッグを使い、ガソリン車ではなくハイブリッド車や電気自動車を運転します。その努力の積み重ねは大事なことではありますが、もっと抜本的な改革で大量生産、大量消費、大量廃棄の文化や化石燃料に頼らないエネルギー政策への転換が必要ではないでしょうか。クライメート・ジャスティス(気候の公平性・気候の正義)は先進諸国の一員である私たちに突きつけられているのです。そのことを真摯に受け止めるべきです。人類存亡の問題がいくつも目の前に現れている時代に私たちは生きているという自覚が必要ではないでしょうか。

今回の代表質問では前半でコロナ、気候危機、核兵器、ジェンダーという私たちのいのち・健康、幸福を脅かす全人類的課題の克服というテーマと横須賀市政を結びつけて質問を構成し、後半ではより横須賀市の現状にフォーカスした課題を質問にしました。

では具体的な質問項目に入ります。

2月1日「新型コロナウイルス陽性患者の神奈川県への療養支援依頼漏れについて」という報告がありました。これは端的に言うと本市のミスにより自宅療養をしている方に希望していた食事が届かなかったというものです。私たちは年末年始にかけて神奈川県内で宿泊施設や自宅での療養者が相次いで亡くなるというケースが続いたことを考え合わせ、本市にも大きな事故が起こりうる兆候ではないかと重大に受け止めました。市長メッセ―ジによれば本市でも1月15日は新規感染者数がピークを迎え保健所内が多忙を極めたとのことでした。ハインリッヒの法則では1件の重大な事故の陰には29件の軽微な事故と300件のヒヤリ、ハットする事例があると言われています。今回、食事を届けることが出来なかった方々は既に回復されているとのことですが、今後はこのようなことがあってはなりません。来年度も新型コロナウイルス感染症の流行は続くと思います。原因究明と対策について市長の御所見を伺います。

厚生労働省は2月4日付けで「高齢者施設従事者等の検査の徹底について」という事務連絡を出しているが、市内に数多く点在する高齢者施設に対して本市としてどのように計画を進めているのでしょうか。直近の状況をお聞かせください。国は新型コロナウイルス感染症が広がりだした当初、PCR検査について37.5℃以上の発熱などの条件を付け、濃厚接触者でも無症状者は対象にしないとする通知を出していました。これが誤った方針だったことは現時点では明らかです。全国ではじめて病院クラスターが発生した和歌山県では医師や看護師だけでなく出入りの業者や地域住民まで約700人に集中的検査を行いクラスター発生から3週間で病院再開にこぎつけ注目となりました。2月の時点で、和歌山県は国の方針を鵜呑みにせず独自の判断で対策を立てこれが功を奏したということです。この教訓を振り返れば、今回の厚労省集中的実施計画は遅きに失した感は否めませんが、それでも早急に展開されることを望みます。私たちは、感染症対策はデータに基づいて科学的、論理的に考え、検査、追跡、隔離、入院の徹底こそが重要だと考えますが、市長は感染症対策の考え方についてどのようなご所見をお持ちでしょうか、伺います。

米軍基地内の感染者が今年に入り特に増えたという実態が報じられています。昨年7月からの公式発表では横須賀基地の感染者は613人、今年に入ってからは321人となりました。市は「米軍基地だけではなく、日本全体、横須賀市も感染者は増えている」「米軍は検査を徹底しているゆえに陽性者が増えている」との見解で、市長も記者会見の場において「米軍はしっかりとした感染対策を取っている。むしろ市内から米軍にうつることすら私は懸念している」と発言したとされています。(2/2付け朝日新聞)これらの市長の認識は事実か否かは別として、以前に私がこの場でお尋ねした際の見解に同じです。聴き取りによれば、米軍関係者に感染者が確認された際には、基地の外に影響があるかどうか判断し、あるとしたときは、基地外での行動履歴の調査、濃厚接触者の特定など、横須賀の保健所や基地対策課が、米軍の衛生当局と連携して行っているということでした。つまり、本市は米軍基地があるがゆえに連絡調整をするところが1つ多いわけです。これは感染症対策をする上で欠かすことの出来ない業務であるとはいえ、明らかに本市にとって負担であり、本来業務を圧迫するものではないでしょうか。市長は本市に米軍基地があることは誇らしいこととおっしゃいますが、その思いと実際の業務負担は分けて考えるべきと思います。国へ何らかの対策を求めるべきではないでしょうか。市長の御所見を伺います。このように、感染症対策においても米軍基地を抱える他の自治体との横のつながりが重要です。この際、神奈川県基地関係県市連絡協議会に再入会することが市民のためになると思いますが市長のお考えを伺います。

次に気候危機に関連して伺います。

市長は1月29日「横須賀市ゼロカーボンシティ」を宣言されました。これは私たちも大いに歓迎するところです。市長メッセージでは「このかけがえのない美しい地球を、美しいまま次世代に引き継ぐ責任が私たちにはあります」としてその決意を語っていらっしゃいます。宣言は高らかに全世界に向けて発信されました。しかし、残念ながら今回の施政方針には反映されていませんでした。なぜでしょうか。お聞かせください。また、この宣言は市民みなさんに広く知っていただく必要があると思いますので、広報よこすかに記事を載せ、市庁舎に懸垂幕を掲げ広報してはいかがでしょうか。合わせて伺います。

私たちは以前から様々な場面で、「気候危機」や「脱炭素」などの「宣言」を提案してきましたが、市のスタンスは市内に石炭火力発電所が建設中であり、稼働すればCO2が排出されるのだから、それは難しいというものだったと認識しています。しかし、今回市長は「ゼロカーボンシティ」宣言をされました。正直、驚きであります。これは言わば今までの市のスタンスを覆しての宣言ではないかと思わざるを得ないのです。ぜひ、宣言を行うに至った理由や経過をお聞かせください。

石炭火力発電所建設を推進しているJERAは「ゼロエミッション2050」を掲げ「脱炭素技術の開発を進め、経済合理性の確保に向けて主体的に取り組んでまいります」と述べています。市長はJERAの提言を評価され、納得されたと思うのですが、であるならば、市民へのJERAの説明も必要ではないでしょうか。市民はJERAからの説明を望んでいますが、積極的にJERAに対して説明責任を果たすように市長が働きかけていただけないでしょうか。いかがでしょうか、伺います。

12月定例議会において、井坂なおし議員がCO2削減の具体策として、グリーンカーボン&ブルーカーボンの提案をしました。市長もゼロカーボンシティ宣言の具体策としてブルーカーボン事業推進を表明されています。海洋の力を最大限に生かすということは大変重要です。だからこそ、まず海の現状を知ることが大切です。2月7日付け神奈川新聞ではサンゴ礁の死滅につながる白化現象の常態化が報じられました。世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフのあるオーストラリア北東海域では白化現象の常態化が2034年と予測され、日本ではもっと早く2024年と言われています。また、近年、回遊魚の漁獲量、分布や回遊域が変化しています。スルメイカやサンマの成長鈍化、養殖のホタテ貝やカキの身入りの遅れ、生存率の低下が懸念されています。神奈川県水産技術センターの研究報告によれば三浦半島の平均海水温が近年上昇し相模湾側では磯焼けがひどくアワビを放流してもほとんど獲れない状況となっているといいます。また、神奈川県では1980年代後半にはマコガレイが400~800t水揚げされていましたが、1999年以降は100t以下になってしまっています。産卵時期の水温上昇が原因ではないかと推察されています。さらに東京湾側のノリ養殖です。かつては県全体の8割1600万枚を走水で生産していましたが、2018年度の生産量は587万枚にまで減少しています。このように地球温暖化による海水温の上昇は漁獲量に深刻な影響を与えています。市長は今回ゼロカーボンシティ宣言ということで炭素に注目されていますが、地球温暖化とCO2の増加、この関係性についてどのようにお考えでしょうか、伺います。

さて、前述したように海水温の上昇は漁業を生業とする方々にとって大きな影響ですし、消費者である私たちの立場から言えば、美味しい魚介類を食べることが出来なくなるという豊かな暮らしの否定にもつながります。海洋都市を標榜し、東京湾、相模湾という海が魅力の本市としては、この際しっかりと世界の海、日本の海、そして本市の近海についての評価を持つべきではないでしょうか。そのためには知見の集約、場合によっては本市独自の調査、分析が必要と思います。この現状認識に立って、ブルーカーボン事業を展開することが重要です。市長のお考えを伺います。

ブルーカーボン事業は有益ですが、それだけでは到底2050年に二酸化炭素排出を実質ゼロにすることはできません。例えば、他都市で行われている農地の上にソーラーパネルを設置する「ソーラーシェアリング」や鎌倉市が表明した市の施設を再生可能エネルギー100%にするなど、目に見える市民の理解や納得が広がるような取り組みが必要です。市長もメッセージの中で「脱炭素社会へ向けた明確な道筋を示すことが非常に重要だと考えています」とおっしゃっています。いつまでにどのような道筋を示し具体的に着手していくのでしょうか。現時点でのお考えをお聞かせください。また、2050年カーボンニュートラルは出来るか出来ないかの問題ではなく、人類の存亡がかかった必ずやり遂げなければならない問題、どうやったら出来るかを真剣に考え実行していくべき課題です。そのためには2050年と言わず、まずは2030年にはどの程度達成されているかということが必要です。時間的な猶予は全くありません。これこそスピード感をもってただちに取り組まなければなりません。私たちも全力で市の温暖化対策を応援し共に取り組みます。市長の覚悟と決意をお示しください。

国、県、そしてそれらに倣って本市も緩和策と適応策の両輪で気候変動へ対応するのが基本だと考えていると思います。昨年10月に環境省の有識者がまとめた評価報告書では、地球温暖化により今世紀中に国内の1次産業に深刻な影響が出る。2040年代にはコメの白く濁る割合が増え一等米の減少で経済損失が大きくなる。マグロ類も太平洋の亜熱帯域で漁獲量が減り、分布が北東に移るとされています。適応策と同時に緩和策の抜本的な内容である本市に建設されている石炭火力発電所の中止こそが最も効果的なCO2の排出量を減少させる手立てだと言えます。石炭火力発電所が稼働すれば年間726万トンのCO2が排出され、これは神奈川県全体の10%であり、本市の年間排出量187万トンの約4倍です。このようにリアルに排出量を計算に入れて本市の「環境基本計画」と「地球温暖化対策実行計画」を策定すれば矛盾が生じるのは明らかです。そのことから算入しない方向で計画策定が進められるようですが、ご都合主義の極致であり欺瞞と言わざるを得ません。市民や職員が一生懸命努力をしてCO2を減らしても市内にCO2を出し続ける場所があるのであれば、空しすぎると思いませんか。市長はこの点についていかがお考えでしょうか、伺います。

次に核兵器廃絶について伺います。

中央公園の整備に伴い新たな平和モニュメントの点灯式も予定されていますが、2017年7月7日国連で122か国が賛成して採択された核兵器禁止条約は、50か国の批准という要件をクリアーし、今年1月22日発効されました。このことによって、核兵器の使用や核による脅しは違法となったのです。政府も「日本は唯一の戦争被爆国であり核兵器禁止条約が目指す核兵器廃絶という目標を共有している」と述べています。市長は発効された核兵器禁止条約に対してどのようなご所見をお持ちでしょうか。伺います。政府は「核兵器をただちに違法化する条約に参加すれば、米国による抑止力の正当性を損ない国民の生命・財産を危険にさらすことを容認することになりかねず、日本の安全保障にとっての問題を惹起する」と述べているように、核抑止力論に拘泥しています。しかし、サイバーハッキングが可能になった現在、核兵器によって国の安全保障を構築することがどれほどハイリスクなのかということは自明です。人類絶滅の脅威である核兵器を抑止力と言い、いつまでもしがみつく考えは愚の骨頂です。市長は核兵器が安全保障を提供すると本気でお考えでしょうか。伺います。

米国の雑誌「原子力科学者会報」の表紙絵に「終末時計」というものがあります。専門家などの助言のもとに、科学・安全保障の議論を経てその「時刻」の修正は原則毎年行われていると言います。人類滅亡の危険性が高まれば分針は進められ、逆に危険性が下がれば分針が戻されるというもので、1989年10月号からは、気候変動による生命科学の負の側面による脅威なども考慮して、針の動きが決定されているそうです。その「終末時計」の分針がもっとも進んでいるのが現在で100秒前です。現在は核兵器の問題だけでなく、全人類的課題として今回の項目に挙げた新型コロナウイルスの蔓延、気候危機も重なっています。人類はいがみ合っている場合ではなく叡智を集めてこの苦難を乗り越えていかなければならない時なのです。市長は核兵器のある世界、核兵器のある未来に「希望」を語ることが出来ますか。全世界の都市の首長と連帯して核兵器禁止条約を歓迎し、日本政府に条約の批准を求めてください。答弁を求めます。

次にジェンダー平等についてです。

社会が激動している中で、人権問題、とりわけ社会的性差への助長、肯定、放置に対して許さないという世論が顕著となっています。

2月に入り“女性が多い会議は時間が長いので発言時間の規制が必要”という持論を展開した森喜朗氏の発言へ国内だけでなく海外からも批判が殺到し、日本の人権意識の低さが露呈しました。ひと昔前なら笑って済まされていたことが、今やはっきりと差別だとして人々の共通認識となり、差別的な言動をした人物は社会的な制裁を受けることが当たり前となりました。今回の件は脈々と男性中心で作り上げてきた枠組みに女性が参入することへの脅威とも受け取れる発言だと感じました。空気を読まず場をわきまえない女性たちの言動は目に余る。これでは物ごとがスムーズに決まらない、困ったものだ。この発想はものごとを集団で論議し合意を丁寧に形成していこうという民主主義のプロセスを真っ向から否定しています。

さて、リーダーシップやものごとを決める際の本市の女性参画の状況はどうでしょうか。具体的に伺っていきます。第5次横須賀市男女共同参画プラン(2018年度~2021年度)の中に「政策・方針決定過程への女性の参画促進」があり、市の審議会等における女性委員の割合の目標値は40%、町内会・自治会における女性役員の割合を50%、市役所における女性管理職(課長級以上)の割合を15%とそれぞれ最終年度の目標値が示されていますが、直近の状況をお示しください。そして、この数値に対する市長の御所見をお聞かせください。また、上下水道局、消防局、教育委員会における審議会等における女性委員の割合と女性管理職の割合の直近の状況をお示しください。そしてこの数値に対する上下水道局長、消防局長、教育長の御所見をお聞かせください。

以上で前半の全人類的課題に関する質問を終わります。後半の質問項目は「公の仕事の役割」「財政運営」「補聴器の助成」「アスベスト問題」「浦郷倉庫地区における米軍の桟橋整備」です。

「公の仕事の役割」で取り上げる1点目は生活保護制度についてです。

現在、生活保護申請、受給にあたっての各種手続き、利用者の日常的な支援は福祉部生活福祉課が行っていますが、この課全体の職員の構成はどのようになっているのでしょうか。正規職員、会計年度任用職員、委託事業者等の職員の属性別の割合を伺います。国民の生存権にあたる保護の決定と実施について、法律上外部委託は出来ないことになっています。しかし自立支援や適正化の名目でケースワークの本体業務を細分化して委託化する自治体が増えています。本市はどのように行っているのでしょうか。本市の業務形態は適正でしょうか。業務処理請負であるのに実態は労働者派遣であるいわゆる偽装請負状態はありませんか。合わせて市長の御所見を伺います。

面接相談数、生活保護申請数を2020年と2019年で比較しますと2020年の面接相談数は多くなっています。例えば、3月は2019年は92件の相談数が2020年は194件と2.1倍以上であり、9月も2019年は119件が2020年には272件で2.28倍となっています。しかし、その割には生活保護申請数はさほど高くなってはいず、むしろ5月は2019年には38件だったものが2020年には33件と低下しています。全国的にはコロナ禍で生活困窮者が増えて生活保護申請も増えていると聞いていますが、本市はなぜ、このような結果となったのでしょうか。市長の御所見を伺います。国民が生活困窮に陥った場合、「自助・共助・公助まずは自分でやってみる」とおっしゃった菅首相も「最後には生活保護ある」と生活保護は国民の権利であることをお認めになっています。厚生労働大臣も生活保護申請時の扶養照会について義務ではないと明言されました。本市は申請時に扶養照会を行っているのでしょうか、実態を伺います。私は2019年の代表質問で「生活保護は恥という烙印スティグマ」について市長と質疑を交わし、その際、市長は生活保護は権利であり、横須賀市民には生活保護を恥だと思う人はいないとおっしゃいました。その真偽はさておき、市民生活が非常に厳しい際に、自治体が相談にぜひおいでくださいと門戸を十分に開き、必要な手続き、制度へと導く姿勢は大変重要です。本市は緊急食料支援を行うなど困窮者支援の取り組みが見えますが、必要な人への生活保護制度移行支援は十分な体制となっていますでしょうか、市長の御認識を伺います。

2点目は福祉援護センターかがみ田苑についてです。9月、12月、そして今回と私たちは半年以上に渡って、かがみ田苑を注視してきました。今回、教育福祉常任委員会で一般報告されるとのことですが、返還金が生じると聞いています。福祉部指導監査課が4度実地指導に入り、現場職員からの聞き取り、帳票等の調査、突合などを行った結果、就労移行支援業務が適正に行われていなかったということが明らかとなりました。市長はこの件について詳細な報告を受けていると思いますので、ご説明をお願いします。また、合わせて今回のことへの御所見を伺います。障害をもった方々の生活や就労のケアやサポートをする施設運営に指定管理者制度はなじまないのではないでしょうか。今回のことを踏まえ市は就労移行支援業務を中止するための条例改正をするとのことですが、小手先の変更で終わりではなく、福祉援護センターかがみ田苑のあり方を本質論で考えるべきと思いますが、市長の御所見を伺います。

3点目は市民病院の呼吸器内科の体制についてです。昨年12月に市民病院に通院する患者さんから「呼吸器内科の先生が辞めるため他病院への転院をすすめている」というお声を聴きました。市民病院はご承知のとおり感染症病床もあり、新型コロナウイルス感染症対策ではその最前線で頑張っています。その呼吸器専門の医師の去就は当然気になるところです。全員移動され医師がゼロになるとも、お一人だけはそのままとかいろいろ不安な憶測が飛んでいるところですが、呼吸器内科の体制はどのようになるのでしょうか。また、私たちは患者さんからこの話を伺いましたが、市はいつどのように知ったのでしょうか。その後、どのような対策を取っているのでしょうか。患者さん、市民にはどのようにお知らせしているのでしょうか。診療科の体制維持に欠かせない医師の充足の問題は市と指定管理者ではどちらが所管していることなのでしょうか。数点に渡りお聞きしましたが、合わせて市長に答弁を求めます。

市立2病院の指定管理者制度への移行について私たちはそもそも反対の立場でした。今回の呼吸器内科だけではなく、過去にも小児科や産科について医師の移動に伴って、診療科の縮小、廃止が議論の俎上に上がりました。また、国の方針は採算のとれない公立・公的病院は統合という流れです。コロナ禍においても国はその方針を取り下げようとしていません。自治体は住民のいのちと健康をどのように守るのか、指定管理者との連携の中でどのような姿勢をとるのか、問われています。公の病院の果たす役割とはいったい何でしょうか。今後の市立2病院への市の姿勢について市長の御所見を伺います。

4点目は中学校の完全給食についてです。

今年9月下旬から、いよいよ中学校の完全給食が始まります。

私たちは給食センターの設置ではなく自校給食を提言していましたし、今でもそれが良かったと思っていますが、これから始まる給食センターでの中学校完全給食がより良いものになってほしいと心から願っています。だからこそ、センター方式への懸念材料を今一度率直に申し上げ確認、要望しておきたいと思います。給食センターが出来れば、教育委員会の学校給食担当の機能が市庁舎からセンターへと移動することになると思います。給食センターにおいてはDBO方式のO、すなわちオペレーションも民間の委託業者が中心となって行うことになると思いますが、そこで懸念されるのが、本市の栄養士が献立作成したものが現場調理員にどのように業務指示されるのかということです。生活保護制度のところで偽装請負について伺いましたが、給食センターにおいてはさらに業務指示系統を緻密に行う必要があると推察します。偽装請負に当たらないためにどのような体制を組んでいくのでしょうか。また、学校、保護者、配食運搬業者等との連絡調整やセンター運営管理を教育委員会がチェックするしくみをどのように担保するおつもりでしょうか、合わせて教育長に伺います。

中学校の給食センターが出来上がり軌道に乗れば、今後は小学校の老朽化した給食室へと視点が移っていくことになるでしょう。その際、小学校の自校給食を安易にセンターに統合するべきでないと私たちは考えます。これは小学校の調理員からもそのようなご意見があります。この際、教育委員会として、小学校の自校給食堅持の姿勢を示すべきではないでしょうか。教育長に伺います。

5点目は上下水道事業についてです。

かながわ広域水道ビジョン(仮称)では県内浄水場の再構築の方向性が示され横浜市と本市が一緒に行っている小雀浄水場は2040年の廃止、そして本市独自の有馬浄水場は2055年の廃止に向けて検討されるとのことです。まだ、だいぶ先の話のように感じるところではありますが、このようなプランが今伝えられるということに上下水道事業がいかに長期的視野にたちながら行っていくものなのかということを考えさせられます。昨年2月から経営審議会も行われ、来年度はいよいよ佳境に入ってくると思われます。人口減少、水道施設のストックマネジメント、SDGs、災害時の対応、職員の技術継承と課題山積の中で、他都市では水道事業の民営化の声もありますが、以前から私たちは主張している通りで、コンセッション方式など民営化への舵切りは止めるべきだと考えます。上下水道局長にご所見を伺います。

さて、「公の仕事の役割」という項目の6点目は長期契約を含めたプロジェクトという観点で伺います。市長は就任以降、様々な契約を多岐に渡って結んでこられました。私たちも賛成したプロジェクト、反対したプロジェクトさまざまです。例えば、長井海の手公園ソレイユの丘のPark―PFI事業は2023年4月のリニューアル事業で19年間の契約です。マリノスが練習場として活用する久里浜1丁目公園は令和4年度の供用開始で25年の契約となっています。新規フェリー航路の開設については岸壁や野積場の使用料、今回提案のターミナル整備は15年くらいをもって回収できる見込みとのことです。そこで伺いたいのは、社会全体が不透明でありあらゆる物事の先を見通すことが難しい現在にあって、あまりに多くのプロジェクトを同時多発的に行っている感が否めません。財政的なこともさることながら、契約履行がすべてしっかり果たされるのか正直心配ですが、市長はいかがお考えでしょうか、伺います。

この項目の最後に公務労働について伺います。

コロナ禍において市職員の働き方は様変わりしたのではないでしょうか。リモートワークが主流になりつつあるようですが、公務労働は現場仕事も多く、とりわけ何かあった際に住民が頼りとするのはやはり身近な市職員です。

先日も深夜11時過ぎに東北地方を中心に震度6強を記録する強い地震があり、被災した自治体は避難所設置と運営が休日関係なく余儀なくされました。公務労働者のマンパワーがいかに重要か、多くの方が改めて認識したかと思われます。公共サービスの質と量は自治体職員の質と規模にかかわる部分もあるはずです。予算編成において、内部管理経費の見直しのなかで、人件費を約8億円減らしておりますが、感染症対策と頻発する自然災害の対応との両立が提案の人員体制で十分であるとお考えでしょうか。市長の御所見を伺います。

また、労働時間の増加の点が気になるところです。私は代表質問を行うたびに、職員の残業時間を伺ってきましたが、今回もぜひ伺いたいと思います。昨年1月から今年1月までの1か月間で最も多くの残業をした職員の残業時間は何時間でしょうか。そして部局によっての残業時間のバラツキ、コロナ禍以前と比べて残業時間の増減に変化はあったのでしょうか、職員の働き方に対するご所見についても合わせて市長に伺います。

次に財政運営について伺います。

立命館大学教授の森博之氏は、コロナ禍による地方財政の影響については、少なくとも10年近くは、不安定な財政運営が強いられることを指摘しています。国と地方、共にワクチンの普及準備に尽力されている途中ですが、現時点でその効果などはいまだに不明な点が多く、再度の感染拡大予防の必要性を誰もが強く感じているのは間違いありません。特に寄り添う対応が必要な福祉・子育て・教育現場・病院などの医療体制を守ることは、コロナ禍ではなくとも地震などの災害に対して迅速な対応を行う意味でも優先すべきです。

厳しいなかでも財政運営は、「適切性」が求められます。効果が疑問視されていたにもかかわらず260億円かけて配布したアベノマスクや、1兆7000億円の予算を投じたGOTOキャンペーンといった国の予算措置はとうてい適切とはいえません。1月の国会の補正予算審議において、日本共産党は2兆5,000億円の地方自治体の支援、1兆5,000億円の地方創生臨時交付金のさらなる増額を求める組み替え動議を他党と連携して提出して、自治体を国が支えることを求めました。人口減少・少子高齢化、市内製造業の衰退などにより財政に余裕がない自治体にとって、地方交付税と国庫支出金は大きな財源です。市民生活が安定しなければ自治体運営そのものが安定せず、当然社会全体も不安定になる負の連鎖に陥ることは避けなければいけません。市民の暮らしを守り、地域経済も循環させねばならない、今後の財政運営について市長はどのようにお考えでしょうか。伺います。

次に補聴器助成について伺います。

高齢になるほど会話が聞こえづらくなるという加齢性難聴、このような方たちへの補聴器助成が、自治体で広がり始めています。

聞こえないがゆえに会話がうまく成立せず生活に支障が出ることはもちろん、集団のなかでひとり取り残されたような疎外感を味わうなど、心身両面の健康な寿命を全うすることができなくなってしまうことは、大変残念でなりません。

科学的には、ひどくならないうちに補聴器を付けることが大切だと言われているものの、高齢者の難聴は気づきにくいということも言われております。

そこで伺いますが、横須賀の高齢者には、加齢性難聴のかたがどの程度おられるか、全体像を把握しておられるのでしょうか。伺います。早期に見つけ対応することは認知症の予防になるとも言われており、医療費の抑制にもつながります。そこで提案ですが、特定健診の検査項目に聴力検査も入れて聴力を測ってはいかがでしょうか。そして、難聴が認められた場合、補聴器の選び方や使い方を相談できる体制も整えてはいかがでしょうか。そしてまた、補聴器購入に際しては公的助成制度の創設を求めたいと思うのですが、市長のお考えをお示しください。

次に解体工事の際のアスベスト調査の徹底について伺います。

9月の都市整備常任委員会に田戸台の旧地方裁判所等の解体工事を巡って陳情が提出されました。アスベスト含有の解体工事で、近隣住民にしっかりお知らせがされないまま解体工事が始まって、結果、中断と再開が繰り返され、現在3度目の中断となっています。解体工事の目途はたっていません。旧地方裁判所等の跡地を国から買った解体工事施主の事業者も積極的に関わり、アスベスト含有の有無について詳細な調査を行い現在分析に入っています。今後、関係者は調査者から報告を受ける流れとなっています。私も関係者の会合に同席する機会があり、いかにアスベスト調査が大切かということを痛感しました。解体工事をする際にアスベスト含有かどうかをまず業者は設計図書というもので確認します。しかし、その図面では不十分です。例えば、現在、平作小学校だったところに給食センターが建設されていますが、平作小学校を解体する際に住民説明会が開かれ、そこでも熱心にアスベスト解体のことが話題に出ました。アスベストを吸い込むとどれほど人体に影響があるかということを強く訴える参加者がいらっしゃいました。そして、解体業者もしっかりと行いますと約束したのです。ところが、アスベストははじめに確認されたところ以外からも検出され、当初よりも多くの解体工事費用が必要となり、教育委員会は契約変更議案を上程してきました。公共工事においてすら、このようにアスベスト調査が不徹底だったということです。また、住友重機械工業株式会社の機関工場の解体についても私は説明会に出ましたが当初はアスベストは含有していないと言っていたのに、結局、アスベストの含有があったのです。つまり、アスベストの有無というのは、非常にわかりにくいということだと思います。設計図書を鵜呑みにして簡単な対応で終わらせてしまうとするならば、解体工事の労働者や近隣住民の健康被害が時間が経ってから発覚するということになります。調査は費用がかかることですから、出来るだけ簡易に済ませたいと言うのが、業者の本音だと思います。来年度から波状的に法改正が続き、アスベスト解体工事に対する規制が強くなります。ですから、本市としても条例を実効性あるものにしていく必要があると思います。例えば、調査を促すために助成制度を設けるなど、しっかりした対策を打たなければ、市内のアスベスト含有の解体工事があちこちで滞る可能性があります。この際、法改正の流れと実効性ある条例運用について研究してはいかがでしょうか、市長の御所見を伺います。

最後に浦郷倉庫地区における米軍の桟橋整備ついて伺います。

先日行われた港湾審議会において港湾計画の変更の必要ということで、議事にあげられました。日米合同委員会において2018年11月に合意がされたということですが、回頭水域の浚渫も予定されていることからそうとう大きな船だと予想できますがこの桟橋にはどのような米軍艦船が停泊しどのような使用目的となるのでしょうか合わせて伺います。また、浚渫工事の主体は米軍でしょうか、日本政府でしょうか費用はどこがもつのでしょうか。浚渫の土砂の処理はどうするのでしょうか。また、軍港巡りや深浦ボートパークのプレジャーボート等の航行の安全は担保されるのでしょうか。

いろいろな角度から伺いましたが、結論的に申し上げれば、私たちは今回の米軍の桟橋整備とそれに伴う浚渫工事は明らかに旧軍港市転換法の精神から逸脱する内容であり、米軍基地の機能強化だと思いますが、市長の御所見を伺います。

以上で一問目を終わります。二問目は一問一答で行います