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これが、12議案に賛成できない理由です(3月定例議会を終えて)

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2021年度の新予算案など、市長から提案のあった40議案のうち、日本共産党市議団は、12議案に賛成できない旨、3月24日の3月定例議会最終日に反対討論しました。

以下、発言の全文です。

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日本共産党市議団のねぎしかずこです。私は、会派を代表して、新年度予算案ならびに関連する諸議案について反対討論をいたします。

反対理由の大きな一つ目は、予算案の優先順位に問題があると思うからです。

この間、新型コロナの影響で生活や営業に何も影響のなかった市民はおられないと思います。皆が不安を抱えながらも、必死の思いで毎日を過ごしてきたのではないでしょうか。

そのようなとき、新年度予算で、猿島に総額3億円も使ってトイレの増設をするとのことです。

今は、医療体制の充実と福祉の拡充にこそ最優先にお金を充て、猿島のトイレは当面仮設でしのいで、としても、だれも不平不満はないと思います。

そもそも、猿島の手つかずの貴重な自然遺産にトイレを増設しなければならないほどたくさんの人を呼び込もうというその発想自体に問題ありと思います。

猿島の3億円トイレ整備と自然遺産保護は矛盾するものではないでしょうか。

まだまだ新型コロナの収束が見通せないさなかの提案でもあり、到底納得できません。

猿島の指定管理者選考のための議案第35号指定管理者選考委員会条例中改正についても、猿島のあり方に関連しますし、私たちは今のまま直営で管理すべきとの立場ですから反対いたします。

 

その一方で、福祉や医療においては、利用できる人数の制限や利用額の引き上げがされようとしています。

一例をあげれば、寝たきり高齢者への紙おむつ支給について所得制限が持ち込まれ、約4千人中千人が支給されなくなります

これでは、猿島の観光者の排泄には手厚く、本市の高齢者の排泄には冷たいと言われても仕方がないと思いませんか。

同じく寝たきり高齢者への寝具の丸洗いや髪をさっぱり整える理美容のサービスも来年度から介護保険制度へと移行するとのことですが、一足早く一般会計から介護保険制度に移行された紙おむつ支給がたどる道と同じく、所得制限の導入など規模の縮小、ひいては廃止に向かっていくことが大いに懸念されるところです。

こどもに関しても、新年度にオープン予定の仮称・中央こども園の整備事業費の中に、中央こども園に統合されることになる上町保育園や鶴ケ丘保育園からの引っ越し費用が含まれていますが、それぞれの地域から身近な保育園がなくなることには賛成出来ません。

議案第16号 特別会計国民健康保険費予算についても、高すぎる保険料を、せめてこどものいる世帯には軽減をと、こどもの均等割の減免を私たちは求めてきましたが、新年度においてもその工夫が見られませんので、賛成できません。

また、しょうぶ園の駐車場の有料化をしようとする議案第39号都市公園条例中改正についても、そもそも私たちは駐車場の有料化には反対の立場でもありますし、憩いの機会を削ぐことになりはしないか危惧し、反対するものです。

また、議案第18号 特別会計介護保険費予算と、それに関連する議案第32号 介護保険条例中改正について、は、介護保険料の引き上げがうたわれているものであり、賛成できません。基準となる第6段階では、月5,500円から5800円へと保険料が引き上げられます。福祉のためと消費税も増税されているのに、このように介護保険料が引き上げられるのは、あまりにもおかしいと思います。

議案第21号 特別会計後期高齢者医療費予算は、窓口負担の2倍化の法案について、市議会へも撤回せよとの2つの陳情がかかったように、75歳以上の医療費窓口負担が増すことは到底納得できないものであり、その流れにある予算には賛成できません。

議案第24号 病院事業会計予算は、市民病院の呼吸器内科の常勤医師4人全員がいなくなり、それを補充できないまま新年度を迎えることに加え、看護師についても28人もの人数を減らそうという姿勢についてです。看護師を減らす理由は、患者数の減に合わせるとのことですが、患者数が減ってしまう原因を放置したまま減らしていけば、ますます医療体制は弱体化し、もう市民病院は要らない、というところにまで行きついてしまうのではないでしょうか。国も、この市民病院については、再編縮小を検討するよう名指ししており、それへの先取りになるのでは、と危惧するものです。市が今一度、地域医療の一拠点としてのスタンスを堅持するよう、注意喚起しておきます。

反対理由の大きな二つ目は、職員削減、ひいては行政サービスの削減になるのが問題だからです。

今回示された行政改革プランの改定状況では、53人の常勤職員を削減する計画予定とあります。また、議案28号職員定数条例中改正では、執行体制や業務の見直しなどに伴い、35人の定数削減を提案しています。実際に働いている職員数は40人減ることを見込んでいることが、予算審議の際に明らかになりました。一方で職員の働き方には問題があります。昨年1月から今年1月までで、一カ月あたり最も多くの残業をした職員の残業時間が226時間、管理職では166時間にもなり、過労死ラインの80時間を大きく上回る危険な状態であることは、先の代表質問でも明らかになりました。まずは時間外労働を減らすことが急務であり、業務量に見合った職員数の適正配置を求めます。

今後、国は行政のデジタル化を進めつつ、公務員を減らし、国民には自助・共助を求めながら行政サービス削減を狙う姿勢があきらかです。ですが地震や台風などの災害時に迅速に動けるのは人の力です。今回、消防局職員4名を減らすことに不安と心配が沸き起こります。災害時における実際の対応は何と言っても人による力が大きく、市民の命と暮らしを支える公務労働者の削減は認められません。関連して議案第28号 職員定数条例中改正も認められません。

反対理由の大きな三つ目は、指定管理者制度のもとでの行政執行に問題があるからです。

福祉分野では、福祉援護センターかがみ田苑において就労移行支援の業務を休止しようとする議案第31号に、この立場から反対するものです。

この議案は指定管理者である社会福祉事業団から就労移行支援事業の廃止を含めた協議依頼があり、それを受けて条例の条文から「就労移行支援」の文言を削除しようとするものです。

市長は2月10日の記者会見の場で障がい者の雇用促進について障がい者ワークステーションで働く障がい者スタッフを6人から9人に増やしますと発言されています。このように障がい者の就労に力を入れる決意をされているさなかに本市の福祉援護センター条例からは就労移行支援の文言を削りこの事業から手を引くというのは筋が通りません。民間でできることは民間でと言いますが、民間も財政的に立ち行かなくなり、この事業から撤退したら、どうなるのでしょうか。本市が障がい者の就労問題にどう責任をもつかということが問われているのです。小手先でつじつま合わせをするのではなく、障がい者の就労をどう進めるのか、真剣に捉えこの視点でことにあたるべきではないでしょうか。

医療の分野でも、市立病院の医師の欠員など、医療体制の弱体化を見るにつけ、指定管理者制度の検証をしなければならないと思います。

反対理由の大きな4つ目は、住民との合意形成の軽視と独断専行の姿勢が問題だからです。

この点で顕著なのは、フェリー就航に伴う問題があります。

私たちは基本的にはフェリー就航事業について反対をするものではありません。しかし、12月、そして今回と2度に渡って、新港地区周辺の住民の方々からフェリー就航事業についての行政への不信感ともとれる内容の陳情が都市整備常任委員会に出され、審査いたしましたが、私たちは、このまま7月に見切り発車的に就航することは止めるべきとの思いに至りました。経済効果について執行部は、フェリー会社の主張を鵜呑みにしていましたが、町内会から指摘され、今になって第三者機関による調査をはじめたということです。就航予定の3か月前になっての右往左往ぶりの露呈は、いかに周辺住民へのお知らせや報告を軽視してきたかということだと思います。住民から「課題山積の中でなぜ、工事をストップできないのか、せめて環境予測結果が出るまではストップすべきではないか」との率直な問いに対して執行部は、「フェリーは市の実施計画「再興プラン」にも位置付けられており、これに基づき予定通り計画を進めてまいります」と言っています。これはまさに市長の掲げる再興プランありきの強引ぶりであり、スピード感を重視する上地市政が、住民の思いに寄り添って事業を進めようとしないかの証左だと思います。私たちはこのようなフェリー就航では市民に歓迎されないと思います。したがって、このまま推し進めることを前提とした議案第40号横須賀港港湾施設使用条例中改正については反対といたします。

反対理由の大きな5つ目は、基地機能の強化と米軍言いなりの姿勢が問題だからです。

新年度からの数年間、米軍長浦倉庫地区で米軍の桟橋整備が予定されています。これは、本市の基本構想、基本計画にうたわれている「可能な限りの米軍基地の返還、自衛隊施設の集約・統合」から逸脱したものであり基地機能の強化にあたります。したがって、認めることはできません。

なお、関連で気になるのは4月からの組織改正において、基地対策課を国際交流課と統合し、国際交流・基地政策課と名称変更することです。市民にとってよりわかりやすく、とのことですが、「基地政策」という言葉のほうがむしろわかりづらく、基地問題や基地対策の後退をまねく恐れが生じないか、強い違和感を覚えるところです。

以上、大きくは5つの観点からの反対理由を述べまして、日本共産党の反対討論といたします。

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なお、全議員の審議結果についてはこちらです↓

210324giinbetusanpi.pdf (city.yokosuka.kanagawa.jp)