- 日本共産党横須賀市議団 - https://jcp-yokosuka.jp -

本日、6月定例議会が終わりました③市長が今回、防衛第8条の中に新たにメニューを新設させ、子育て支援の推進のために総額35億円獲得したということをどう捉えるか、私たちは真剣に考えました。

この賛成討論は、団会議で議論を重ね賛成することにした、悩みに悩んだ賛成討論です。

大村洋子議員が行いました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

日本共産党の大村洋子です。

本日2度目の討論となりますが、今度は賛成の立場での討論となります。

議案第60号旧市立平作小学校解体工事請負契約の締結についてです。

2021年8月稼働を目指す中学校完全給食のセンター整備に向けて、現在ある施設の解体工事を行うにあたっての議案であります。

先ほど行われた教育福祉常任委員会では、請負者は本市の事業者であること、また、解体される施設にはアスベストを含有するものがあり、飛散しないための対応もしっかり図られるとのことが確認できました。今後は地域住民の方々への解体工事の全工程の周知、とりわけアスベスト除去工事等についてしっかりと周知し、不安解消に努めていただきたいと思います。

 さて、私たちがこの議案において最も力点を置いたのは、請負代金額の3億2,455万7,640円です。これは一般質問でも私が取り上げた、「防衛第8条民生安定施設の助成」の中に新設された「子育て支援の総合的な推進を図るために必要な施設」として充当できるメニュー、数年間にわたり総額で約35億円、今年度については9億3,500万円助成されるというもので、前述した解体工事の請負代金額はこの中から出されるというものです。

 したがって、議案第60号は校舎等の解体工事請負契約締結という給食センター整備関連の議案ではありますが、財源の防衛第8条子育て支援の補助金をどう捉えるのかということが私たちにとっては眼目となりました。

 防衛第8条子育て支援の補助金について、一般質問で取り上げた際、その関連で、私が「防衛省から来る補助金、交付金がないとやりたい施策や事業が回っていかないと思いますか」と伺うと「なきゃないなりに考えていきます」と市長は答弁されました。このやり取りが契機となり、本市にはいったい年間、基地があるが故の交付金、補助金がどのくらい入ってきているのだろうかと考え、30年余遡り調べてみました。普通交付税中の補正額は考慮せず、防衛3条、8条、9条、基地交付金、調整交付金を合計すると1993年平成5年には約22億8,000万円、だったものが、総じてゆっくりと増え続け、2006年平成18年には約26億円となり、再編交付金が約11億円入った2008年平成20年にはいっきに約36億6,000万円となり、3条8条の助成金が7億円を超えた2012年平成24年にはその年の合計額は42億円を超えました。今後はイージス艦配備の再編交付金と本格的な給食センター建設に対応する第8条の子育て支援メニューの補助金も加わり、おそらく過去最高額の基地ゆえの交付金・補助金の合計額となると思われます。私たちは基地関連の交付金、補助金が増えていくことについて、一概に否定的には捉えていません。固定資産税相当額にあたる交付金などは本来もっと交付されてしかるべきと考えています。イージス艦や空母関連で交付されてきた再編交付金については、迷惑料的な意味合いが強く、肯定はできません。基地関連の交付金、補助金を考える際は、当然、交付されてしかるべきものと捉えつつも、基地を前提にしているがゆえに基地に依拠していく構造となり、悩ましい面があるのが現状です。

 本市はだいぶ以前に、もし、基地がなければ、年間の法人市民税がどのくらい入ってくるのかを試算したことがあったと聞いています。たしか、約100億円ほどだったと思います。一般質問でも少し触れましたが、上地市長は議員時代に、横浜のMM21を引用して、米海軍横須賀基地の8割程度の敷地面積であるこの臨海部が本市の基地関連の交付金の3倍以上の市税収入と9万人以上の雇用を生み出していることを強調され、逸失利益論を展開されていました。基地そのものをどう見るのかという点において、市長と私たちは考えが違いますが、基地があるゆえに、本市は本来獲得できるはずの利益を逸しているという考え方は総じて同じであると考えます。逸失利益論をもち、地域主権主義を掲げる市長が今回、防衛第8条の中に新たにメニューを新設させ、子育て支援の推進のために総額35億円獲得したということをどう捉えるか、私たちは真剣に考えました。これは一連の基地機能の強化に連動した防衛省からの、ねぎらいやご褒美の類ではないか、平たく言えば「アメとムチ」のアメではないのかということです。ですから、私は一般質問の中で、「結果として歪んだ財政基盤を生み出し、国への上意下達の精神を醸成させてしまうのではないか。これは軍転法の形骸化につながるのではないか」と申し上げました。この私の質問に対して、市長からは「大村議員のまったくの杞憂です。」ときっぱりと答弁されました。この答弁を絶対に忘れないでほしいと思います。国とは対等平等、協力関係であるという自治体の本旨は憲法にもはっきりと謳われていますし、市長は地域主権主義者を標榜されていますので、前述した逸失利益論と同様、この2つを今後も握って離さず、逸脱することなく、市政運営されますよう、私たちは常に是々非々の立場からチェックしてまいります。

最後に「こどもの給食施設に防衛省からの補助金を使うのはどうも納得がいかない」というご意見をいただいたことについて触れたいと思います。防衛第8条の中の新設の子育て支援メニューから9億3,500万円が給食センター建設へという記事は神奈川新聞の一面に掲載され、その記事を目にされた何人もの方々から私のところへ前述のようなご意見をいただきました。私は6月議会の間中、この問題を考え続けていましたが、行きついたのは、「いのちの問題への違和感」ではないかということです。お金に色がついているわけではないのだから、文部科学省からの補助金だろうが、防衛省からの補助金だろうが、本市が財政的に助かるのだからこだわる必要はない、そう考える方々もいらっしゃることでしょう。しかし、こどもたちの身体と心を育む給食センター建設に、紛争地域に展開する第七艦隊司令部のある米海軍基地と今やそれと連動して動く自衛隊施設を根拠とした補助金が使われるということに、いのちを生み出す母親たちの感性が直感的にNOのシグナルを出したとして、誰が否定できるでしょうか。今回の子育て支援メニューの補助金獲得は、市長をはじめ職員のみなさんの地道な交渉が実を結んだということは否定できませんが、国は国の論理で、本市を管理していきたいというのも事実でしょう。ですから、市長には逸失利益論と地域主権主義を両手に携えて国との交渉を本市主導で進めてほしいと思います。そして、一方で複雑な思いと感性で見守っている市民のみなさんがいらっしゃることも決して忘れないでほしいと申し添えておきます。以上で議案第60号旧市立平作小学校解体工事請負契約の締結についての日本共産党市議団の賛成討論といたします。