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2019/3/27 新年度予算案等に反対する討論(発言者・ねぎしかずこ)

※文責・市議団(まだ、正式な議事録とはなっていません)

党市議団を代表し、市長提案の新年度関連議案26議案中11議案に反対する討論をいたします。

 はじめに、議案第15号横須賀市一般会計予算についてです。

主な反対理由の一つ目は、たて続けの高齢者施策の削減です。代表質問でも指摘しましたが、施政方針の中には高齢者施策への思いが見当たりませんでした。昨年暮れに行われた「シニアパス」の値上げと対象年齢の引き上げは、これから本格化する超高齢社会、そして健康寿命を延ばしていくためにも、本来、削減どころか拡充しなければならない施策でした。現に対象から外れた方から、不安や不満の声を伺っています。「ふれあいお弁当」などの廃止、「インフルエンザ予防接種」の費用への補助など、きめ細やかに行われてきた横須賀の高齢者施策の削減は、対象の高齢のかたがたには、「自分は大事にされていないのではないか」、「これからも横須賀で暮らしていくことに不安を覚える」と受け止められていることを市長は認識してほしいと思います。

また、主な反対理由の二つ目には、こどもを持つ世帯へも負担増を強いていることです。就学援助額を3819万円削減するとのことです。推計で、518人が就学援助から外されることになります。教育委員会提案の、準要保護者の就学援助費交付認定基準を2017年4月の生活保護基準に変更するという就学援助制度の見直しについても認めることは出来ません。教育委員会は「古い基準をいつまでも使っているわけにはいかない」「横須賀市は係数が1.5と他都市よりも高い」「持続可能な制度にするため」などと理由を述べました。しかし、国の動向や他都市と比較するのではなく、本市のこどもをもつ世帯の生活実態に心を寄せ、本当に施策の変更が妥当なのか考えるべきではないでしょうか。教育委員会は日本国憲法第26条の教育を受ける権利、ユネスコの学習権宣言、ユニセフのこどもの権利条約にどこまでも依拠して本市の児童生徒、そしてその世帯を応援する立場を堅持してほしいと考えます。

さらに、主な反対理由の三つ目としては消費税増税を前提にした予算立てになっていることです。その緩和策として打ち出されたプレミアム付商品券事業費として約7億8300万円が計上されています。自治体が発行主体となり、事務量が増大するため、所管する商業振興課では正規職員を3人増員、非常勤職員4人増員と併せて7人もの組織体制を組むということですし、商業振興課以外にも、非課税の情報については税務部や福祉部に、DVを受けているかたの住民登録と実際の住所を異にしている場合の配慮についてはこども育成部に、福島原発災害で本市に避難されている方への対応は市民部など、煩雑な事務作業が他の部・課にも生じることが委員会審議で明らかになりました。事業効果が不透明なプレミアム付商品券事業のための、このような職員増など、横須賀市にかかる負担は極めて大きいものがあり、反対いたします。議案第28号職員定数条例中改正にも、他の部局での人員要求が厳しいなかで、この事業に、正規職員の3名もの増を割くことは偏りがあると言わざるをえません。よって、反対いたします。

主な反対理由の四つ目としては、住民の多様な文化・スポーツの醸成の場であるコミュニティーセンターの再来年度の有料化に向けて地ならしをする来年度予算であるからです。

コミセンを有料化することをどう思うかを、利用者であるサークルに尋ねたアンケートでは、6割以上が無料が望ましいとの結果でした。10代では7割以上が無料を望んでいます。収入のない若者も、年金が減らされるいっぽうの高齢者にとっても、会費を上げざるを得なくなるサークルの運営にとっても有料化は痛手であり、住民の文化・スポーツの発展を先細りさせてしまうものです。「エアコンの温度調節ができない」「ピアノの調律ができていない」「照明が点かない」など、すぐにでも手当が必要なことがたくさんあることもアンケートで明らかになりました。整備を怠った上に、「有料化したら、そのお金を使って直す」「だから有料化が必要」と誘導するようなやり方は、フェアではありません。

主な反対理由の五つ目は、石炭火力発電が横須賀の久里浜で始められようとしていることへの市長の認識についてです。代表質問では、「事業の継続については、民間事業者の企業判断によるもの」「イメージダウンになるような施設ではない」と、石炭火力発電を問題視しないどころか、その企業を擁護するかのような市長答弁に終始しました。市民への影響はもちろんのこと、世界で異常気象に苦しめられている人々のことを考えれば、石炭火力発電ではなく、自然エネルギー、しかも地域分散型のものへと切り替えていくことが、環境面はもちろんのこと、防災強化や地域経済の振興のためにも必要であり、市としても、その方向こそ目指すべきです。

主な反対理由の六つ目は、戦争する国づくりにやっきになっている安倍政権の先導役さえしようとしていることです。横須賀に配備されているいずもの空母化を市民が心配しているにもかかわらず、「なぜ私の所見が必要なのか、さっぱりわからない」と言い、専守防衛を逸脱していないとする国の見解をとうとうと述べるのみでしたし、横須賀市の若者の個人情報を、自衛隊の求めに応じて、提供する業務を平成27年度から行ってきたことも、明らかになったからです。この4年間で18歳や22歳になる若者の名前・住所・生年月日・性別を記載した2万人余の名簿の提出が行われたことがわかりました。安倍政権が自治体に要請していることが発端とはいえ、自治体には提出の義務はなく、住民を守ることより国の命令に従った戦前を思い起こさせるもので、認められません。

また、自衛隊施設の機能強化が、市民の生活環境の悪化を招こうとしているのに、国へ撤回を迫れない市長の姿勢も挙げたいと思います。田浦中学や船越7・8丁目の閑静な住宅街に隣接する海上作戦センター敷地内に造成中のヘリポートを目指し飛んでくるヘリは、周辺に墜落や騒音被害をもたらすものとして、私たちは昨年より、防衛省にもおもむき、直接、地元住民の思いを伝え、撤回するよう求めてまいりました。なお、私は、船越の住民のかたがたが、3月26日に、南関東防衛局が住民立会いの下、ヘリの飛行時の騒音を測定するとの情報を受け、昨日、測定現場に行ってまいりました。ヘリの離着陸場が建設中で離着陸はできないため、その上空約300メートルを飛んでいるだけの騒音測定でしたが、それでも私が行った観測地点では、1回目に77、1デシベル、2回目に77、7デシベルが観測されました。オスプレイが飛来することも否定されておりません。

住宅街における日中の基準値は50デシベル以下と言われています。いまからでも、ヘリポートの中止を求めるべきではないでしょうか。

以上が一般会計に反対する主な理由です。

次に、議案第16号特別会計国民健康保険事業会計予算についてです。私達は国民皆保険制度において、国保は「一部の人の保険」ではないと主張してきました。

安倍政権が2012年から進めた「社会保障制度改革推進法」によって、社会保障であるべき国民皆保険が相互扶助の制度にされてしまっています。後期高齢者医療制度によって75歳以上の人を別枠にし、さらに国保に入っている小規模事業主に対して社保に切り替えるよう誘導し、国保加入世帯を75歳未満の高齢者や障がい者、非正規雇用の低所得者に特化してきたのは国です。

 重い負担に苦しむ市民を守るのが行政の役割であり、国民皆保険制度のもとでこうした不公平が生じていることを放置していいのでしょうか。

国に、早急に国保運営の安定のために予算を投入することを求めるとともに、市長は国の動向を待つことなく、一般会計からの繰入をしっかり行い、高すぎる国保料を引き下げることに心を砕くべきで、まずは、子育て世帯が苦しむ「高すぎる均等割」に支援を講じることを強く求めながら、反対いたします。また、議案第34号国保条例中改正も、国保料引き上げの流れにあるもので、反対いたします。

次に議案第18号特別会計介護保険費予算についてと議案第21号特別会計後期高齢者医療費予算についてです。こちらについては、度重なる制度の改悪によって保険料を納めていながらも制度じたいを利用できない、使い勝手の悪さ、窓口負担増による医療への受診抑制という制度の後退が続いています。国の福祉・医療への姿勢について認めることはできませんので、反対いたします。

次に、議案第24号  病院事業会計予算についてです。一番の心配は、うわまち病院はもう移転するのだから、と、それを前提にした運営に傾くことです。かつて、うわまち病院が国立病院であった時代、もう国立病院は廃止するのだから、と、国は、医療環境の改善に充分な予算を割こうとはしませんでした。いわゆる立ち枯れ政策をしたことを、市は繰り返してはなりません。よって、反対いたします。

次に議案第27号(仮称)中央こども園設計事業者選定委員会条例制定についてです。中央こども園の設置場所については二転三転しました。私たちはこどもたちが通う施設を地域から切り離して集約統合する考え方にそもそも無理があると考えます。こどもたちの施設は地域に溶け込み地域に見守られながら運営されていくことが自然なのです。この際、本市の子ども子育ての全体像を見渡し、こども園構想自体を土台から見つめ直していくことが必要な時期ではないでしょうか。以上のことから反対いたします。

次に、議案第35号手数料条例中改正議案第36号建築基準条例中改正についてですが、これは建築基準法改定にともなうものです。この改定は、増加する空き家の他用途への転用を促すため、一定規模の住宅などを宿泊施設や福祉施設に転用する際、建築確認や耐火構造を不要とするものですが、転用を促すために防火の安全規制を緩めてよいはずがありません。また、宿泊のための施設に耐火構造を求めない代わりに警報装置などの設置を求めていますが、それが技術的基準を満たしているかの判断は所有者任せですので、賛成できません。

最後に、議案第37号地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例中改正について、ですが、横須賀リサーチパーク地区が、当初目指していた方向ではもはや展開が難しい状況を打開すべく、来てくれる企業とあらば受け入れたいと制限をはずすものと見受けられます。これでは、実態に合わせていくことに精いっぱいで、リサーチパークの先々のありようを見据えたものにはなり得ませんので賛成できません。

私たちは、予算審議の際、まず、市民の暮らし向きに目を凝らしながら臨んできました。地方自治法の第1条にうたわれているとおり、自治体が一番に行わなければならないことは「住民の福祉の増進」だからです。代表質問でも、市長に真っ先に質問したことは、市民の暮らし向きをどう捉えているか、ということでした。しかし、市長は「市民の暮らしに関する調査結果は持ち合わせていない」、と、正面からそのことに触れようとはしませんでした。また、この時期に消費税を10%にあげることについても「国のほうで審議し決めたことであり、止むを得ない」としました。

3月20日に発表された政府の月例経済報告では景気全体の判断を3年ぶりに下方修正、政府自身が景気悪化の可能性を認めるに至ったことを挙げるまでもなく、横須賀においても、多くの市民は国の社会保障削減をはじめ、消費税や国保の高い負担を強いられているもとで、厳しい生活を余儀なくされていることは、目を凝らして見るならば、誰の目にも明らかです。ですから、市長も、調査結果を持ち合わせていないと言いながらも、「実感として暮らし向きが良くなっているとまでは思っていない」と、吐露せざるをえなかったのではないでしょうか。その実感こそが予算編成の大前提であり、困難を抱えている市民の生活をこそ真っ先に温めるべきです。

そのためには、国に追随することをやめ、企業の勝手を許さない市政運営に転換するよう求め、反対討論といたします。