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2013年市議会第2回定例会、ねぎしかずこ議員の一般質問

2013年市議会第2回定例会において、6月6日ねぎしかずこ議員が《原子力艦の防災対策》と《地域公共交通の維持・確保》について一般質問しました。


日本共産党のねぎしかずこです。

私は、ひとつめには原子力軍艦の防災対策について、ふたつめには地域公共交通の維持・確保について市長に伺います。

最初に原子力軍艦の防災対策についてです。

2か月前の4月16日、市長は外務省を訪れ、「本市の地域防災計画を改訂するに当たり、原子力艦についての方向性について政府の考え方を示すよう」外務省に要請されました。

原子力軍艦の防災対策については、もっと国が積極的に対応しなければならないと私も思いますので、国に対する要請はぜひ行ってもらいたいと思います。

しかし、今回の要請については不十分さを感じる点も何点かあります。まず、原子力防災対策について「国の考え方を示すよう」求めるならば、防災の担当である内閣府や専門家を抱えている原子力規制委員会に要請すべきと思いますが、なぜ、外務省に要請したのでしょうか、お聞かせください。

もし外務省に要請するならば、内閣府や原子力規制委員会が原子力軍艦の防災対策の考え方を示すことができるような情報を米軍から提供してもらうよう要請すべきと考えますが、市長のお考えをお聞かせください。

また、外務省への要請に関する回答期日を、夏前までにとした理由をお聞かせください。

さて、市長の要請の中では、今回国が示した防災指針に原子力軍艦が含まれていないことから、平成16年に策定された原子力軍艦の防災マニュアルとの考え方に違いがあるので政府としての考えを示しいてほしいと要請されています。しかし、防災基本計画には、住民避難やヨウ素剤の配布についてなど、新たな防災指針を参考にして作成するように明記されていることや福島第1原発の事故を受けて原子力の安全対策が変わろうとしている時に、事故前に作られたマニュアルを持ち出して考え方を示してほしいというのは、あまりにも原子力防災対策の方向性を無視した対応といわざるを得ません。もし、要請するならば、防災指針などの改定を受けて原子力軍艦の防災マニュアルを見直すように求めることが、必要ではないかと思います。

そこで伺いますが、市長はまだ改訂されていない原子力軍艦の防災マニュアルの見直しが必要だというお考えはあるのでしょうか、お聞かせください。

さて、地域防災計画の原子力災害編の策定については、これまでも何回も取り上げてきましたが、市長は昨年の第4回定例会での井坂議員への答弁で、地域防災計画の原子力災害編も防災指針を参考にしてつくると答弁されています。

しかし、先に述べた外務省への要請に関する記者会見の中で、市長は記者に「市長の判断として、原発の指針に沿ったものにするということも検討はされているわけですか。」との問いに「現時点ではその判断はしていません。なぜならば、やはり国がどのように考えているかというのが確かめられていないからです。ですので、国の考え方というのを聞いた上で、市として判断しなければいけないことが出てくるかもしれませんが、現在はまだ判断はしていません。」と答えておられます。第4回定例会で防災指針を参考にするといった答弁はごまかしだったのでしょうか、お聞かせください。

さて、市長が外務省に要請をしたのち、国は、地元自治体の意見を聞くための会議、新聞では実務者会議と称されていましたが、それを開催すると発表しました。実際にその会議は開催されたのでしょうか、お聞かせください。開催されているならば、その概要をお示しください。また、開催されていないならば、今後どのようなスケジュールで開催される見通しなのかをお聞かせください。

いずれにしても要請の内容が、市としての基本的なスタンスを示していないという点で不十分と言わざるを得ません。今後、政府がどのように回答してくるのか、また、その後の市長がどのように対応するのか、大変重要なことと思いますので、しっかりと注目してまいります。

さて、原子力軍艦の防災対策について、私たち日本共産党は4月26日に井上哲士、田村智子両参議院議員の名前で、政府に対し質問主意書を提出しました。5月7日にその回答が返ってきました。回答は、不十分な点や責任を自治体に押し付けているような内容もありましたが、一つはっきりしたことは、新たな防災基本計画の中で削られていた、原子力安全委員会が担っていた役割を原子力規制委員会が引き継ぐことが明記されたことです。今後、その回答のとおり防災基本計画を修正するよう求めていかなければなりませんし、不明確な回答のところはきちんと考え方を示すよう求めていかなければならないと思います。

そこで、今後、原子力規制委員会の関わり方について市も積極的に要請する必要があると思うので、以下について市長に伺います。

まず一つは、原子力軍艦の防災マニュアルの改訂についてです。今ある原子力軍艦の防災マニュアルは、平成16年当時、原子力安全委員会の中に検討チームを設け、そこで論議したことがマニュアルとなっていますので、マニュアルの改定を要望するとともにその策定にあたって原子力規制委員会が関わることを求める必要があると思いますがいかがお考えでしょうかお聞かせください。

二つ目は、ファクトシートとの関係です。

この質問の前提として、市長は以前よりファクトシートと原子力軍艦の防災対策には、考え方の相違があるとして、その一致を求めて国に質問していますが、その回答は来たのでしょうか、お聞かせください。

さて、市長は、ファクトシートを重視しているようですが、地域防災計画を策定する上では、ファクトシートは何ら法的な位置づけがないので、それを鵜呑みにせず、ファクトシートから推定される最大の危険性に対応できるようなものにするよう求める必要があると思います。市長のお考えをお聞かせください。

以上のように、原子力軍艦の安全対策は、まだまだ、取り組まなければならない課題が多い状況ですので、市としての基本的なスタンスをはっきり示しながら、国に対し要請するように求めるものです。

次に、地域公共交通の維持・確保についてです。 交通は、言うまでもなく、人やモノの交流や活動を支え、国民生活にとって欠かせないものです。しかし、自民党政権のもとで進められてきたモータリゼーション推進、自動車優先の交通施策が今、様々な弊害をもたらしています。とりわけ、自家用車を利用できない人は、地域公共交通の利用が困難な地域に住んでいる場合、移動が大きく制限されるという「移動制約者」となってしまいます。さらに、いきなり郊外の一山をつぶすなど無秩序な開発によって虫食い状態のように拡がる都市のスプロール化や、中心市街地の空洞化が影響し、「移動制約者」の日常生活が、年齢を重ねるごとに、より困難となっています。

このように、深刻度を増す公共交通に関する弊害に立ち向かうため、移動の権利の確立が必要だと私たち日本共産党は主張しています。これは、日本国憲法が保障した第22条の居住・移転の自由、第25条の生存権、第13条の幸福追求権など関連する人権を集合した新しい人権です。国民が安心して豊かな生活と人生を享受するためには、移動の権利を保障し行使することが欠かせないと考えるからです。民主党政権が2011年に国会に提出した「交通基本法案」は、この「移動権の保障」が盛り込まれないまま、廃案となってしまいました。地域公共交通の確保とは、単に足の確保をすればよいというような技術的な問題ではなく、これまでの政治、政策の犠牲になり移動の権利を侵害されてきた国民への、責任を果たす行為であるとも言えます。本来であれば、何百世帯も住むことになるような団地を造成するときには、将来、車に頼らなくても移動できるように地域公共交通の整備もいっしょに整えておくべきだったと思います。その時の不作為が、高齢化した今、顕在化しているのです。遅きに失したとはいえ、移動の権利の確立を図り、その保障に努めるべく、地域交通に対する手当が必要と考えますが、市長のお考えをお聞かせください。

また、昨今の人口減などによる地域公共交通の利用者の減少は交通事業者の経営にも響いていきます。公共交通機関の利用が減少し採算が取れなくなれば、民間バス会社は運行の減便や路線からの撤退に至るかもしれません。運行の変更を許可性から認可制へと、規制緩和という名のもとに変えてしまった政治のもとでは、より減便や撤退が進み、交通不便地域が増えていくおそれもあります。地域公共交通の確保・改善には、先に述べた状況のなかでも、民間事業者には懸命な努力をしてもらうとともに、今後起こり得る地域公共交通の衰退に歯止めをかけるために、国と地方自治体など行政府の努力が、求められていると思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。

さて、そのためには、財政出動も求められると思います。その際、交通は社会的共通資本であり、公共交通事業者単独での収支検討はなじまない、という考えに立つべきです。高齢者等の交通不便対策はもちろんのこと、公共交通は通院・通学・買い物のため、と、医療、教育、商業などの他分野と結びつくことで町全体が機能する地域のインフラであると思うからです。公共交通の運行は行政の使命であり、相応の税金を投じてでも、必要なサービス水準の確保に努めていくという考え方が必要ではないでしょうか。市長のお考えを聞かせてください。横須賀市がバスを購入してこの3月から横須賀中央・三笠循環バスを走らせているのも、より多くの人をよこすかポートマーケットという新たな拠点に呼び込んだり、移転してきた裁判所や税務署などに訪れた人を中央商店街のほうにも還流させたりして、地産地消の振興、観光の振興、商業の振興を図るためではないでしょうか。

ところで、本市での、コニュニティバスなどの新たな交通手段の立ち上げと、その運行の継続に対する支援についてですが、市では、山科台地区と粟田地区の自治会からの要望を受け行ってきた京浜急行バスをはじめとする関係各所との調整が整ったとして、今月6月1日から、それぞれの地区に停留所が新設され、路線バスの乗り入れが開始されることになったと発表したところです。今後も、最寄りの駅やバス停まで行くのに大変なこのような地域への交通手段の確保が望まれます。

さて、市はこれまで、このような移動困難性の高い地域を調査し、特に4地区においては、既存のバスはもちろん、大型小売店が買い物支援として運行するようになったバスも運行されていないという現状を、昨年の第4回定例会の都市整備常任委員会において報告されました。

またその際、導入の条件として、地域の主体的な機運の盛り上がりが必要との市の方針も示されました。市でも、地域のニーズに合った交通手段を選択するためのリーフレットを作成するとしていますし、求められれば出前トークもしていくとのことです。

そこで質問ですが、このような働きかけは、求められた地域にだけでなく、広く一般にも働きかけていくのでしょうか。伺います。というのも、機運の醸成は、住民だけで自然に盛り上がっていくことは困難と考えるからです。新たな公共交通を欲する人が少なくないにもかかわらず、それをまとめていく受け皿が地域に乏しい場合も考えられます。

雛がかえったら初めて餌を与えるやり方ではなく、雛の誕生を促進するために卵の段階から暖める、すなわち、情報を市側から積極的に提供するなど働きかけをして地域の要望として顕在化に努め、盛り上げていくことが欠かせないと思うからです。

また、買い物促進の一環として地域商業圏の商店街からの運行便を出してもらうことなども働きかけるなど、多方面への市の働きかけが必要かと思いますが、市長はどのような働きかけをしようとお考えでしょうか。お尋ねします。

市が指摘しているように、地域が主役となって新たな公共交通をつくりだし維持していく気概と実際の骨折りが大切なのはそのとおりなのですが、しかし、いくら努力しても採算がとれないという場合はどうするというのでしょうか。採算性を最優先した考え方は望ましいものではないと考えますが、市長は、新たな運行の立ち上げ基準についてどうお考えでしょうか。

地域公共交通の立ち上げに関して、いくつかの補助メニューを用意するなど、スタートを後押しできるような市からの財政的支援が必要と考えるが、市長のお考えをお聞かせください。

さて、これまで運行されているところで、問題はないのでしょうか。特に、町内会などで運行しているところについて収支の不安はないのでしょうか。ボランティアでなんとか存続しているという状況ではないでしょうか。公共性が高い事業であり、安定した事業継続のためには、市の何らかの財政支援が必要ではないでしょうか。市長のお考えをお聞かせください。